№239 会話が苦手の人も完全克服。「話させ上手」になれば、放っておいても相手がどんどん話をしてくれて、会話が弾みます。
「誰とでも会話が続く『相づち』のコツ」(著 立正大学名誉教授 齊藤勇 文響社)の紹介になります。
「話し上手」より「話させ上手」
口下手で話すことが苦手。
会話が弾まない。
なんとか話し上手になりたい。
このような思いを持っている人はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
うまく話すためのコツ、気の利いた話のネタの収集をどのようにすればよいのか、そのためのノウハウ本はたくさん出ています。
逆転の発想です。
話し上手になるコツは、実は「話させ上手」になるということだったのです。
話させ上手になるための秘訣は「相づち」にあります。
相づちならば、話下手でも苦になりません。
相づちは長く話す必要もありません。むしろ短い方がよいのです。
相手の話の区切りに一言、決まっている相づちを打てばいいのです。
多くの人の会話の目的は、あなたの話を聞きたいわけではありません。
自分の話を聞いてもらいたいと考えています。
多くの人は、自分の話に相づちを打ってもらいたいのです。
会話の達人とは、人の話をうまく引き出して、話をよく聞いてくれる人、つまり「話させ上手」ということになります。
会話の達人の優れたノウハウは相づちにあります。
会話が上手になりたいと思えば、うまい相づちを習得すればいいということになります。
相づちの基本「さしすせそ」
では、相づちのコツとはなんなのでしょうか。
超基本の相づちとして、「さ」「し」「す」「せ」「そ」があります。
「さ」さすが
「し」しらなかった/実力ですね
「す」すごい
「せ」センスいい/絶対
「そ」そうですね・そうなんだ/それで
特に「さ」「す」「そ」が基本中の基本で、この3つがあれば、人間関係構築の基礎を固めることができます。
相手の話が区切れたところで、「そうなんだ」、すかさず「それで」と話の続きを促し、一段落で「すごい」という賞賛の言葉を投げかけます。
そして、最後に相手に向けて「さすが」の一言、この言葉で相手の承認欲求に応えます。
このパターンが最も分かりやすく有効です。
人間には承認欲求があり、他人から認められたい、良い評価を得たいという欲求があります。
「すごい」という相づちは、その人そのものを評価するものではなく、その人の成果業績を評価するものです。
「さすが」は、その人の能力、個性を評価するのに最強の相づちであり、褒め言葉でもあります。
また、「そうなんだ」「そうだよね」という相づちは、相手への同意を意味しています。
心理学で「類似性の法則」というものがあるそうです。人は、相手が自分と同じ意見や考えを持っていればいるほど相手に好意を寄せます。
これらの言葉をうまく使いこなすだけで、話させ上手(話し上手)になることができます。
「し」と「せ」の効用
残る「し」と「せ」をご紹介します。
「しらなかった」は相手のインテリジェンスをさりげなく褒める相づちです。
「えっ、知りませんでした」「それで、」と繋げて、自然な流れで会話を続けることができます。
本では、「し」の相づちとして「じつりょくです」も紹介しています。
「さすが、部長の実力ですね!」というように相手の能力を最大限評価することになりますが、私にとってはなかなか使うのに勇気が必要でした。
「実力です」という言葉が、どうもおべっかを使っているようで、相手にわざとらしく聞こえるのではないかと考えてしまいます。
「さすが」という褒め言葉も同様に相づちを打つ側にとってわざとらしさや照れを感じさせます。
私の経験では、「実力ですね」という言葉よりは「さすが」の方が抵抗感が少ないので、「さすが」を使うようにしています。
ちなみに、「さすが」という相づちを使ってみて絶大な効果があるということを実感しています。
部下に、さりげなく「さすが」を投げかけると、みるみる部下の表情が高揚していき、報告が饒舌になってきます。このことは何度も体験しました。
「せ」の相づちに「センスいいね」というものが紹介されています。
「センスいいね」も使うには少々抵抗感があります。
しかし、その人の感覚感性を褒めるということの中には、地位や肩書が含まれていません。その人の個性に対する最大の承認になります。
何とか、さりげなく使えるようになりたいものです。
あと、「せ」の相づちに「ぜったい」があります。
単独で使うというよりも「絶対、すごいです」「絶対そうですよね」というように、他の相づちと組み合わせて強調した使い方です。
通常の相づちばかりを繰り返す中に、「絶対、」とアクセントをつけることができますし、相手への絶対の承認を贈ることで、絶対の信頼を獲得することができます。
以上、相づちの基本を紹介してきましたが、詳しくはこちらの本をお読みください。
「誰とでも会話が続く『相づち』のコツ」(著 立正大学名誉教授 齊藤勇 文響社)
心理学理論、心理学実験のエピソードを交えて丁寧に教えてくれます。
相づちで人間関係の基礎を構築
人間関係の基礎は信頼関係にあります。
相手と信頼関係を結びたいということが動機になって、人は話し上手になりたいと考えるのです。
人は誰しも承認欲求を持っている、つまり話しを聞いてもらいたいと思っていることを前提と考えれば、相づちを活用しない手はありません。
また、人は相手から好意を持たれたいと考えているとすれば、相づち同意し、「私もあなたに好意を持っていますよ」という評価を伝えることは有効です。
人間関係を構築するためのツールとして「相づち」の大いに活用したいものです。
なお、この本「誰とでも会話が続く『相づち』のコツ」(著 立正大学名誉教授 齊藤勇 文響社)には、人間関係を深める相づち「あいうえお」も紹介しています。こちらは別ブログにて紹介します。
褒め言葉の5S「さすが」「すごい」「すてき」「すばらしい」「さいこう」をブログにてご紹介しています。
よろしければこちらもご覧ください。
マネジメント研修で部下に対するコミュニケーションの一環として「褒める」を紹介することがあります。
「部下を褒めて育てる」ということです。
しかし、実際、特に日本人は褒め下手と言われており、多くのマネージャーが実践できません。
齋藤勇さんのこの本の中に、日本人のコミュニケーションは主従関係だと書いてありました。
こちらのブログをご覧いただければ幸いです。