多くを語る必要なし!人間関係を深める、相づちのコツ「あいうえお」

№246 会話が得意であれば、もっと友達も増えるし、人間関係がうまくいくのに.....。

しかし、私を含めて会話に苦手意識を持っている人は多いのではないでしょうか。

人間関係を深めるためには会話が大切です。

ブログ№239「会話をすすめる、相づちのコツ『さしすせそ』」では、相づちの基本を紹介しました。

今回は、基本を理解した上で、さらに人間関係を深めるための相づちスキルのアドバンス「あいうえお」を紹介します。

「誰とでも会話が続く『相づち』のコツ」(著 立正大学名誉教授 齊藤勇 文響社)からの引用まとめになりますので、詳細は本書をお読みいただければと思います。

実は一番大事な相づちの「あ」

相づちの基本中の基本として特に「さすそ」、すなわち「さすが」「すごい」「そうなんだ」を紹介しました。

相手の話を受けてどんな会話でも合わせやすく簡単に話を継ぐことができる基本的な言葉です。

しかし、私が最も大事にしたい相づちは「あ」の「ありがとう」です。

「ありがとう」という言葉は相手に感謝を伝える言葉です。

相手の言葉を継いで会話を前へ進めるだけでなく、相手との信頼関係を育み、深める言葉になります。

そもそも人間には自分が役に立っているという自己効力感に対する欲求があり、自分が重要な存在でありたいと願う自己重要感、そのように他人から認められたいという承認欲求があります。

また、人間は他人から好意を持たれたいと願っています。

「ありがとう」という言葉は、これらの欲求を満たすものです。

「ありがとう」という言葉は、話し手と聞き手の関係性が前提となっています。

話し手の行為や存在が聞き手に対して役に立った、重要であったという表れです。

つまり感謝の言葉は、話し手と聞き手の人間関係をより結びつける言葉だということです。

「ありがとう」という言葉は人と人を結び付け、関係を深める最良の言葉だと言えるでしょう。

挨拶の「あ」

相づちではありませんが、人間関係を深めるための「あ」として、あいさつが大切です。

挨拶は礼儀に基づく行為です。礼儀は相手を敬い尊重する意思の表れでもあります。

私たちは、朝オフィスへ出た時に「おはようございます」と挨拶をします。

もはや習慣として相手に対しての敬い尊重する意思が感じられないケースもあります。しかし、もし朝出合った人が、こちらの挨拶に対して何も返答がなかったら無視されたと腹が立つでしょう。

挨拶はお互いに交わすことで「あなたが確かにそこに居る」という存在を承認する行為なのです。

承認欲求は人間が社会的存在であるという意味において最も基礎的な欲求です。

この欲求が満たされないことに人間は不安を覚えるのです。

人間関係の入り口としてまず「私はあなたの存在を認めています」「私はあなたに自分の存在が認められています」という相互の確認が必要です。

相づちよりも何よりもまず挨拶をするということが会話を始めるに際して重要な訳です。

さらっと相手に評価を伝える「い」

次の「い」の相づちは「いいね」です。

「さすが」「すごい」を多用していると何だかわざとらしく聞こえてきます。

むしろ「いいですねぇ~」と言うほうが自然で話しても言いやすいかもしれません。聞き手も自然に聞くことができます。

SNSでの「いいね」もあって気軽に多用できます。

相手を褒める相づちとして最も使えるものです。

もうひとつ「い」の相づちとして「いえいえ」というものもあります。

話し手を「すごい」「いいですね」と褒めたとき、多くの場合の聞き手は「大したことありません」と謙遜モードに入ります。

その時に「いえいえ、そんなことはないです」とさらに褒めの突っ込みを入れる言葉です。

「いいですね」

「そんなことないです、大したことありません

「いえいえ、そんなことないですよ」

こんなやりとりで、会話を続けていくことができます。

相手を慰める「う」の相づち

続いての相づちは「運(うん)」です。

相手が失敗した時、自分を責めて落ち込んでいる時に「運が悪かったね」と言葉をかけることで相手の気持ちを軽くすることができます。

人は落ち込んでいる時に優しい言葉をかけ、気持ちを和らげてくれる人に対して親しみを感じます。

失敗の真の原因はともかく、相手の気持ちの回復を助ける言葉として「運」を話すことは有効です。

また、「この失敗のおかげで成長できた、実は運が良かったのかも」というように、この言葉が立ち直る転換点になる可能性もあります。

「運」をうまく使うことで、相手との人間関係を深めることができます。

「え」と「お」の相づち

残る「え」と「お」をご紹介します。

「え」の相づちは「縁」です。

「縁がありますね」「これも何かの縁です」といった言葉になります。

日本人は「縁(えん・えにし)」という目に見えない不思議なものを大切にします。

「縁」は私たちの文化を背景に自然に心の中に受け入れられてしまう言葉でもあります。

会話の中にこの「縁」というものをうまく持ち込むことで、話し手聞き手の双方に「関係を大切にしなくては」と思わせ、運命的な絆のようなものを感じさせるのではないでしょうか。

親しみや関係の深まりをじわっと染み込ませる言葉が「縁ですねぇ」という相づちになります。

そして、最後の相づちの「お」は「恩」です。

「恩に着ます」という表現はあまり使わないかもしれません。それだけにインパクトがあり、深い感謝の表現になります。

「恩」という言葉は、「鶴の恩返し」のように相手からの返礼を期待させる言葉です。

なので、この言葉が交わされる間柄には通常の「ありがとう」の関係よりも強い結びつきを想起させるものとなります。より人間関係が深まります。

カジュアルな「ありがとう」と違って多用せず、ここぞという時に使うと効果的だと言えるでしょう。

最後に

コミュニケーションを苦手としている人は多いようです。かく言う私も苦手意識がとても強いです。

コミュニケーションは生まれ持っての得意、不得意があるように感じられます。

しかし、コミュニケーションスキルと言われるように「スキル」である以上、トレーニングによって身に着けることができるはずです。

今回のブログで紹介した相づちは日常の会話の中で試すことのできるものばかりです。

相づちを意識して使うことで、コミュニケーションが苦にならないレベルになれるのではないかと思っています。

今回の相づちの「あいうえお」は、会話を続けるためというよりは、人間関係そのものを深めるための言葉として紹介させていただきました。

詳細は、「誰とでも会話が続く『相づち』のコツ」(著 立正大学名誉教授 齊藤勇 文響社)をお読みいただければと思います。

心理学を根拠にエピソードを交えながら「相づち」について分かりやすく書かれた良書です。お勧めいたします。

ブログ№239 会話の苦手な人に朗報!会話をすすめる、相づちのコツ「さしすせそ」 も同書の内容を紹介していますので、よろしければお読みいただければ幸いです。

長文をお読みいただき、ありがとうございました。これも何かの縁かもしれません。

「誰とでも会話が続く『相づち』のコツ」(著 立正大学名誉教授 齊藤勇 文響社)

この記事を書いた人

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西口満

「気づきによる学び、自ら成長する」を支援し、ひとりひとりのウェルビーイングの実現と生産性の高い職場のチームづくりを行い、企業や社会の発展に貢献する

ビジネスリーダー育成コーチ、
人事戦略のコンサルティングをしています。

プロフェッショナルとして「人の成長」に関わり続けることをライフワークとし、少しでも誰かの成長のお役に立てれば幸いです。

ブログでは、そんな私が学んだこと、気づいたこと、感じたことを発信し、誰かの、何か、前進のヒントになればと思っています。

これからも情報を発信し続けます。

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