№233 私は、キャリアコンサルタント、コーチなど、対人援助の仕事をしているのですが、実は人との会話は苦手です。
仕事上での会話は、伝えるメッセージがあるのでおかしなことにはならないのですが、世間話となるとしどろもどろになってうまく会話が続きません。
今回は、コミュニケーションを後押しをしてくれる、私にとっての座右の質問をご紹介します。
『この人と自分との共通点は何だろうか?』
コミュニケーションの基本は相手への関心です。
人見知りは関心の対象が自分に向いている状態です。
自分が発言したことについて相手はどのように思っているだろうか、相手は自分のことをどう思っているだろうか、相手に良く思われたいという気持ちが強く、意識が自身に向いています。
相手への関心よりも自分への関心の方が勝っている状態です。
そこで、この質問です。
『この人と自分との共通点は何だろうか?』
関心の対象を自分から相手へ向けることでコミュニケーションの動機が高まります。
『この人はどんな人?』とストレートに質問することも考えらます。
しかし、「自分との共通点」を探る質問を座右にしているのは理由があります。
それは、コミュニケーションの基本は相手との信頼関係にあるからです。
カウンセリングやコーチングを始める時にラポールを築くと言います。
ラポールは心理学用語で,「心が通い合っている」「どんなことでも打明けられる」「言ったことが十分に理解される」と感じられる関係を指します。感覚的にこの人とは気が合いそうと感じられるような関係です。
気が合うということは相手とたくさんの共通点が感じられるということです。
ラポールが築ければ会話が進むようになり、人見知りの状態からも脱することができます。
相手との共通点を探す質問が有効なわけです。
『この人と自分との違いは何だろうか?』
コミュニケーションでは、どうしても相手とうまくいかないこともあります。
こちらの言っていることがどうしても通じない、相手の言っていることが理解できない。
会話が弾まない、間の悪い気まずい時間が流れていく、私などは日常でよく遭遇しています。
そんな時、相手との共通点を探しますが、逆に『この人と自分との違いは何だろうか?』と問う場合があります。
そもそもひとりひとりは違うもの。生まれも育ちも違う。それぞれ価値観が違います。違って当然です。
相手の発言の背景、意図、そして価値観を考えることで、相手への理解につながり会話を前へ進めることができます。
その当然のことに気づく、相手との距離感が定まることで、会話に対する不安感も和らぐでしょう。
会話を自己表現の場として機能させる
今回は苦手意識を和らげて、コミュニケーションの入り口にしっかり立つための座右の質問でした。
人間関係構築の第一歩をどう踏み出すのか、相手のことを知りたいという動機がなければ、会話は始まりません。
気が合う会話では相手と多くの共感がある状態ですし、弾まない会話は、関心の対象がそれぞれ自分に向いている状態です。
相手との違いを考えることも相手へ関心を向けることに他なりません。
会話は自己表現の場です。自己表現のためには、まず相手への関心を先行する必要があるということなのでしょう。
コミュニケーションは双方向によるものです。