№240 コミュニケーションはキャッチボールに例えられます。
「誰とでも会話が続く『相づち』のコツ」(著 立正大学名誉教授 齊藤勇 文響社)には、次のように書いてありました。
「日本人のコミュニケーションはキャッチボールではないですよ」
「???」頭の中に疑問符がつきました。
なぜなら、講師としてコミュニケーション研修をするのですが、「コミュニケーションはキャッチボールです」と言い続けてきたからです。
コミュニケーションはキャッチボール?
多くの人がコミュニケーションはキャッチボールという理解をされているのではないでしょうか。
話し手がボールを投げる。
聞き手がボールを受け取る。
今度は、聞き手が話し手になって、ボールを相手に投げ返す。
コミュニケーションのためには、ボールを投げる時に相手に受け取りやすいように丁寧に放物線を描くように投げる。
相手が受け取れないようなボールを投げていては良いコミュニケーションは成立しません。
これが、コミュニケーションの原則になっています。
会話とは相互作用の上に成り立っており、お互い交わされる言葉の量、質は同等でなければならない。
研修講師としてそのように話をしていました。
日本人の会話は主従関係
欧米での会話のスタイルは言葉の量、質ともに同等の場合が多いように感じられます。
欧米のように対等な「個」が中心となっている文化でのコミュニケーションは「キャッチボール」と言えるのかもしれません。
しかし、日本のように集団の中での「関係性」が中心となっている文化でのコミュニケーションは、個人よりも役割や立場が優先されることになります。
上司と部下との関係であったり、店員と顧客との関係であったり、親と子の関係であったりと主と従の関係の下でのコミュニケーションになり、役割や立場の関係性の影響を受けることになります。
日本でのコミュニケーションの多くは、必ずしも「キャッチボール」にはなりません。
あえて「キャッチボール」で例えると、キャッチャーが座ってのピッチャーによる投げ込みの図式になります。
ビジネスにあっては、上司と部下の面談では上司の方が多くしゃべっているというのが実態です。(特に日本、アジア)
主従関係の会話では相づちが会話で有効
主従関係にある会話であってもコミュニケーションは双方向であることには変わりありません。
主となる話し手は、思った通りどんどん話をすればいいのかというと一方通行ではコミュニケーションは成り立ちませんし、従となる聞き手がひたすら聞いていればいいのかというとそれもダメです。
一方通行の会話はコミュニケーションとは言えません。
主従関係での会話で重要な役割を果たしているのは相づちです。
話し手は、聞き手の相づちがあってはじめて話にリズムで出てきて話が弾むようになります。
聞き手は、相づちを入れることによって話し手の話を引き出すことができます。
つまり、良いコミュニケーションにおいては、話し手が会話を主導しているように見えますが、実は聞き手が相づちで会話を主導しているということがわかります。
主従関係での会話では、話し手と聞き手の相づちがコミュニケーションを成立させているのです。
会話上手になるためには、相づちをツールとして使いこなすことが
良いコミュニケーションには相づちが欠かせません。
相づちについては、次のブログをご覧ください。
『№239会話の苦手な人に朗報!会話をすすめる、相づちのコツ「さしすせそ」』
こちらのブログでは、書籍「誰とでも会話が続く『相づち』のコツ」(著 立正大学名誉教授 齊藤勇 文響社)の紹介をしています。