「言葉にできる」は武器になる(梅田悟司)スキル・技法を求める人は読んではいけない本

№189ワンセンテンスブログ

「『言葉にできる』は武器になる」(梅田悟司・日本経済新聞社)の書評ブログです。

タイトルに「読んではいけない本」と入れてみました。

しかし、「自分の伝えたいことが、なかなか言葉にならない」「思いが届かず、人に理解してもらえない」「会話が続かない」など、コミュニケーションを何とかしたいと思っている人には、是非読んでいただきたい一冊です。

今日のワンセンテンス

「言葉をコミュニケーションの道具としてしか、考えていないのではないですか?」

「言葉が意見を伝える道具ならば、まず、意見を育てる必要があるのではないですか?」

本の「はじめに」の中で、いきなりきつい質問が飛んできました。

この本を手に取った動機は、ブログを書く際にどのようにすれば「伝わるブログ」が書けるかということでした。どうすれば、多くの人に読んでもらえるか、どんなタイトルが目を引くのか、どんな表現が良いのか、「テクニックを学びたい」というものでした。

しかし、言葉は道具です。そもそも道具を使って何を伝えたいのか、と問われると、そこが全然しっかりしていないことに愕然としたのです。

言葉は思考の上澄みに過ぎない

梅田さんは言葉には2種類の言葉があると言います。

外に向かう言葉」と「内なる言葉」です。

「外に向かう言葉」は一般に言われている言葉です。

「内なる言葉」は、自分がある感情を持った時、何かを考えている時に使っている言葉で、頭の中に浮かんでは消えするものです。

私たちは、「内なる言葉」で感じ考え、それらがまとまり、「外なる言葉」に変換され、人に伝えるという行為になります。

人に伝えるということは、まず、自分の「内なる言葉」にしっかりと向き合う必要があります。

私たちは、これまで「なんとなく」があるだけで、それほど真剣に「内なる言葉」に意識を向けてこなかったのではないでしょうか?

伝わる言葉を使いたければ、自分の「内なる言葉」をもっと磨かなければならないことに気づかされます。

つまり、「言葉は上澄みに過ぎず」自分の内なる世界を豊かにすることが大切だということです。

なんとなく、考えたつもりから脱却

普段の私たちの頭の中は、いろんなイメージ・感情・考えが、浮かんでは消え、消えては浮かんでいる状態です。

「今、何考えてんの?」と聞かれても、脈絡なくうまく答えられないことはよくあることです。

聞かれると答えるために考えをまとめようとしますが、聞かれなければ、何かを考えていてもそのまま流れてしまいます。

私たちは常に何かを考えていますが、ほとんどが意識を向けられることなく忘れ去られています。

「内なる言葉」を鍛えるには、自分の「内なる言葉」にできるだけ意識を向け、「内なる言葉」を明確にすることが大切です。

悲しい時には、何に悲しんでいるのか、なぜ悲しいのか、嬉しい時はどうなのか。

困難な場面では、立ち向かうのか、尻込みするのか、何が原因なのか、どうするのか。

関心は自分の外に向いているのか、内に向いているのか。

どんな時にどんな感情が生まれているか、自分は何を考えているのか、何を考える傾向があるのか、自分をよく知ることです。

梅田さんは、何となく考える、から脱却することが大切だと説いています。

これが人に伝わる言葉を育てるための第一歩だということなのでしょう。

伝わる言葉を磨くには

「『言葉にできる』は武器になる」の構成は3部になっています。

1.「内なる言葉」と向き合う
2.正しく考えを深める「思考サイクル」
3.プロが行う「言葉にするプロセス」

第1部では「内なる言葉」の大切さを語っておられます。最も大切な部分です。

続く2部で「内なる言葉」の明確化のための「思考サイクル」を回す具体的な方法について紹介しています。

頭の中の一切を紙に書き、アウトプットするための方法です。「T字型思考法」で思考の広げ方、深め方についてのテクニックの解説があります。

T字型思考法については、別のブログにて紹介しましたので、よろしければそちらをご覧ください。

とにかく、徹底して「内なる言葉」をアウトプットします。

そして、最後の3部では、「内なる言葉」を「外へ向かう言葉」への変換方法について教えてくれます。

言葉の「型」や文章の作り方です。

最終的にはテクニックを解説してくださっています。

詳しくは本をお読みいただきたいです。

言葉を育てることは豊かな心を育てるということ

思考の深化なくして、言葉だけを成長させることはできない」と梅田さんはおっしゃいます。

思考を深化させること、つまり「内なる言葉」豊かさが問われています。

私は、「心の豊かさ」を問われているように感じました。

言葉を美辞麗句で飾っても、本当の心がなければ、相手に真心は通じません。

本当に伝えたいという熱意がなければ相手に伝わりません。

広い知識、豊かな経験、それらから生まれる感情や思考を「内なる言葉」として明確に意識する。そうして心を育てることが大切だという思いに至りました。

共感できる方は是非お読みいただければと思います。

T字型思考法はこちらのブログをどうぞ

この記事を書いた人

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西口満

「気づきによる学び、自ら成長する」を支援し、ひとりひとりのウェルビーイングの実現と生産性の高い職場のチームづくりを行い、企業や社会の発展に貢献する

ビジネスリーダー育成コーチ、
人事戦略のコンサルティングをしています。

プロフェッショナルとして「人の成長」に関わり続けることをライフワークとし、少しでも誰かの成長のお役に立てれば幸いです。

ブログでは、そんな私が学んだこと、気づいたこと、感じたことを発信し、誰かの、何か、前進のヒントになればと思っています。

これからも情報を発信し続けます。

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