2019年2月4日№98 ワンセンテンスブログ
生活、ビジネスといった日常から離れてリフレッシュ。違う世界へ行くには「旅」は有効な手立てだと思います。
詩集を手に取るということはどうでしょうか?
詩をじっくり味わうことも、今とは違う世界へ行くことができる手立ての一つになるかもしれません。
三本のマッチ 一本ずつ擦る 夜の中で
はじめのはきみの顔を隈なくみるため
つぎははきみの目を見るため
最後のはきみのくちびるを見るため
残りの暗闇は今のすべてを想い出すため
きみを抱きしめながら。
(「夜のパリ」)
「プレヴェール詩集」小笠原豊樹訳 岩波文庫より
「天井桟敷の人々」「霧の波止場」など恋愛映画の名脚本家であり、シャンソン「枯葉」の作詞家でもある、フランスの国民詩人ジャック・プレヴェール(1900―77)。
この詩から何を感じとればいいのだろうか?
久しく恋愛なんてしていないように思う。
マッチ売りの少女よろしく、三本のマッチの暖かい炎の中で、愛するものを確かめていく。
なんてロマンチックなんだろう。
最後の暗闇がいい。心の中にずっと恋人を住まわせるスペースを作っている。
確かに学生の頃は何冊か詩集を持っていた。恋愛だけでなく、生や死について、漂泊の想いについて、その頃は想いを馳せることがあった。
ところが今は忘れてしまっている!?
家にはボードレールの詩集「悪の華」があったはずだ。今度引っ張り出してみよう。
学生時代へタイムスリップできるかもしれません。
『一日一文 英知の言葉』木田元編(岩波文庫)。今回のプレヴェール詩集からの引用はこの本の「2月4日」に割り当てられたものです。