キャリア形成においてパーソナルブランディングを考える

№255 パーソナルブランディングという言葉があります。他者との違いを際立たせて、自分自身の独自性を磨くことを指しています。

キャリア形成において重要な考え方が含まれているように思われます。

ブランドとは

そもそもブランドとは何でしょうか。

英語(brand)そのものの意味として、「焼き印を押す」という意味があります。放牧の家畜の所有者を明らかにするものです。また、Brand-newという言葉も、「焼き印の押したばかり」という意味から「真っ新(まっさら)」との意味へと派生したそうです。

ブランドと言えば、GUCCIやCHANELなど商品の独自のデザイン、高級感・高品質といった他と違う商品イメージを思い浮かべます。

マーケティング用語集には次の通り書いてありました。

製品やサービスまたはそれを提供する企業を区別するための名称や記号、デザイン、メッセージなど。またはその組み合わせのこと。
ブランドは、消費者にとっては、自分に価値ある製品やサービスを識別させてくれるもの、(=常に同質のベネフィットがもたらされる)そして、企業にとっては、製品固有の特徴を法的に保護するもの、(=他社との差別化と競争力をもたらす)と考えることができる。
つまり、ブランドは企業が製品やサービスを市場に提供し続けてゆくためになくてはならない基本的要素といえます。
ブランドにどれだけ強い価値を付加することができるかが重要。

キャリア形成にブランドの観点を持ち込むと...

通常、キャリア形成を考える時は、自分の過去を振り返ってこれまで何をしてきたのか、今何ができるのか、そして自分が何になりたいのかを明らかにします。

そのうえで、自己分析を行って自分を把握した上で、自分の強みは伸ばし、弱点は補う方法を考え、今後のキャリア形成に活かしていきます。

パーソナルブランディングという考え方があります。

個人として独自性を持ち、他の人と違う魅力を磨くことで個性を際立たせることです。他者から際立った専門性を持ち、周囲から認められ高い評価を得る必要があります。

強みを伸ばし、弱みを補うというキャリア形成では、内省的で自分に矢印が向いており、独りよがりになってしまう心配があります。

自分のブランディングをしようと考えると、強み・弱みに着目するのではなく、自分の「売り」に着目することになります。

自分の「強み」は必ずしも「売り」にはなりません

例えば、TOEIC800点は自分の強みとは言えるでしょうが、外資系企業の中ではそれほど強みにはならないでしょう。つまり、TOEIC800点は外資系企業にあっては「売り」にはならないのです。

キャリア形成にブランディングの観点を持ち込むということは、自分の「売り」は何かを考えることです。

「売り」の対義語は「買い」です。「売り」という言葉には必ず買い手が存在します。買い手があっての売り手(自分)なのです。

自分のキャリア形成を考える時に、どんな場面で、どんな市場で自分の独自性が発揮したいのか、誰から選ばれて、誰から評価されたいのかを意識して専門性や独自性を磨いていくのかを考えなければなりません。

How to make personal branding

自分のキャリアを考える時には、「売り」を考えた方が良いのです。

昨今は、転職することも珍しくありません。自身の市場価値が問われる時代になっています。

単純に強みを考えるだけのキャリア形成では独りよがりになってしまいます。

誰に選ばれたいのか、「売り」を強く意識したキャリア形成が必要なのではないでしょうか。

パーソナルブランドを作る

自分の強みが他者に選ばれるようにしなければなりません。

バッグといえばGUCCI、スポーツ用品と言えばNIKEと言うように、思い描いてもらえるようになるというのがブランディングです。

キャリア形成においては、「〇〇と言えば〇〇に聞け!」というような状態、例えば、努めている会社の中で、EXCELでの表作成で困った時は〇〇に聞け!というようなものを作っていくのです。

「中国ビジネスのことなら〇〇さん」というような漠然としたものよりも「中国の食品流通、特に加工食品流通についてのスペシャリスト」といった、より尖ったブランドを身に着けることを目指すべきです。

その方が具体的で自分自身も磨きやすいですし、周囲からも尖って見られて選ばれます。キャリアの核を作って、そこから周辺を攻めていく方法が良いのではないでしょうか。

パーソナルブランディングとは、「選ばれる尖った自分をつくる」ということです。

パーソナルブランドはどのように作られるのでしょうか。

  1. 「売り」をつくる
    売りのもとは、専門性と経験です。専門知識を身に着け、専門領域についての経験を積みます。そこから独自のノウハウを駆使し、問題解決にあたります。
  2. 信用を築く、信頼を得る
    他者から選ばれ、選ばれ続けるには、約束を果たし続けることで実績をつくることが必要です。そして、他者からの信頼を得ることです。信用(Credit)と信頼(Trust)は意味が違います。信用は過去の行為・実績に基づくもので積み上がります。信頼は将来に対する期待を指しています。信頼を裏切ると言いますが、信用を裏切るとは言いません。
  3. 市場価値をチェックする
    「市場」において自分がどの程度価値があるのか評価・客観視する目を常に持つようにしましょう。市場で求められているものは何か、市場の変化を常に意識し、自分をアップデートしていくことが大切です。

つまり、パーソナルブランディングは、常に誰に対して貢献するのかを意識し、自分を磨き続けることで、その分野で成果を出し、他者の信頼を得続けることになります。

パーソナルブランディングこそ、これから求められるキャリア形成になるのではないでしょうか。

自分評価の目線から他者からの評価目線への転換で、自分の価値をより大きく確かなものにしていきましょう。

この記事を書いた人

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西口満

「気づきによる学び、自ら成長する」を支援し、ひとりひとりのウェルビーイングの実現と生産性の高い職場のチームづくりを行い、企業や社会の発展に貢献する

ビジネスリーダー育成コーチ、
人事戦略のコンサルティングをしています。

プロフェッショナルとして「人の成長」に関わり続けることをライフワークとし、少しでも誰かの成長のお役に立てれば幸いです。

ブログでは、そんな私が学んだこと、気づいたこと、感じたことを発信し、誰かの、何か、前進のヒントになればと思っています。

これからも情報を発信し続けます。

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