組織における手抜きの問題について(リンゲルマン効果)

Blog. №0280 綱引きに関する問題です。

8人で綱引きに参加したとします。1人の持っている力を100とすると、8人の力の合計は800になります。
ところが実際は計算通りにはいきません。手抜きが発生するのです。

人は大勢で作業をすると他の人に依存してしまい、手を抜いてしまうことが知られています。
「誰かがやってくれるだろう」「少しぐらい力を抜いても大丈夫」といった心理が働いてのことと言われています。

では、どれぐらいの手抜きが発生するのでしょうか。

リンゲルマンによる実験

「社会的手抜き(Social loafing)」と呼ばれている現象があります。集団で共同作業を行う時に、一人当たりの生産性が人数の増加に伴って低下することを指します。

このことについての実験をした人の名前からリンゲルマン効果とも呼ばれています。
フランスの農学者マックス・リンゲルマンは、綱引きや荷車引きなどの集団で作業する時の一人あたりのパフォーマンスを数値化しました。

実験の結果では、1人の時に発揮される力を100%とした場合、
2人の時は93%、3人では85%、4人では77%、5人では70%、6人では63%、7人では56%、8人では49%というように、
人数が増えるたびに1人あたりの力が低下する現象を明らかにしました。

集団が大きくなればなるほど個人のパフォーマンス貢献が小さくなり、集団全体のパフォーマンスの総和も期待通りとはならないというものです。

大勢の人が集まることで相乗効果を期待するということはよくある話ですが、リンゲルマンの実験結果は相乗効果どころか1+1=2にもならないということを示しています。

社会的手抜きが発生する要因は?

どうして手抜きが発生してしまうのでしょうか。

共同作業の場面では、モチベーションの低下が起こってしまうと考えられます。

  • 自分がどれだけ成果に貢献しているのかが分からない。他者に認めてもらえない。
  • 自分の努力がはっきりとせず、集団の中に没入してしまう。
  • 努力しても損をするかもしれない。
  • うまく立ち回っていれば評価してもらえる。

このような意識が働き、モチベーションの低下が起こりやすくなります。自分でない誰かがいることで、集中力や責任感が薄れてしまうことが要因になっているようです。

マネージャーはどうすればいいのか?

「社会的手抜き」にどう対応すればいいのでしょうか。

集団を統率・管理するマネージャーにとっては大きな課題です。

まず、考えられるのは、
仕事を細分化して担当責任者をはっきりさせることです。誰が貢献したのかを明らかにして、しっかりと貢献度を評価することがあげられます。
但し、仕事を細分化することで、集団としての連携や一体感が損なわれることが懸念され、注意が必要になります。

マネージャーが、適宜目配せをすることも大切です。
集団に埋没しがちなひとりひとりを観察し、励まして認めること、あるいは手抜きがあれば指摘をするように頻繁に関わっていくことです。
過剰な関わりは逆にモチベーションの低下を招くこともありますが、適切なタイミングでかかわっていく姿勢が必要になります。

仕事の目的、それに連なる目標を明確に示すことがあげられます。
目的・目標を共有した集団では、達成に向けてひとりひとりが自発的に貢献しようと努力します。
スポーツチームでいうところのチーム一丸の状態です。

目的・目標の明確化は組織マネジメントの一丁目一番地です。
要は、手抜き防止のためにはしっかりマネジメントしましょうということですが、メンバーの自発性を引き出すことが手抜きへの有効な手立てとなるということです。

最後に

8人で綱引きに参加する時は、リンゲルマンの実験だと800の力が392(800×49%=392)になってしまいます。

マネージャーは組織の持つ力を最大限発揮させる責務があります。
「社会的手抜き」をいかに防ぐかという観点で、今一度マネジメントを見直してみてはいかがでしょうか。

この記事を書いた人

Avatar photo

西口満

「気づきによる学び、自ら成長する」を支援し、ひとりひとりのウェルビーイングの実現と生産性の高い職場のチームづくりを行い、企業や社会の発展に貢献する

ビジネスリーダー育成コーチ、
人事戦略のコンサルティングをしています。

プロフェッショナルとして「人の成長」に関わり続けることをライフワークとし、少しでも誰かの成長のお役に立てれば幸いです。

ブログでは、そんな私が学んだこと、気づいたこと、感じたことを発信し、誰かの、何か、前進のヒントになればと思っています。

これからも情報を発信し続けます。

詳しくはこちら