№271人材育成の現場では、指示待ちをなくして、自ら考え動く人材を創ることが大きな課題となっています。
私はそのために自己効力感を大切にした人材育成が必要だと考えています。
今日のワンセンテンス
自己効力感の強い人は、人間として成就することや個人のウェルビーングをいろいろな方法で強めていく。あることに関しての能力を確信している人は、困難な仕事を、避けるべき脅威としてではなく習得すべき挑戦と受けとめて進んでいく。
出典『激動社会の中の自己効力』 (アルバート バンデューラ 金子書房)
アルバート・バンデューラ(1925~) 自己効力感や社会的学習理論を唱えた心理学者
自己効力感とは
自己効力感(self-efficacy)とは、「自分はできる」「自分は目標を達成する能力がある」と認知することです。
自己効力化が強いほど、実際に目標達成のための行動を起こし、結果的に目標達成できる傾向があると言われています。
そもそも人はできないことに対して意欲がわくでしょうか。
実現するといいなぁ、と思うことは夢や希望として多々あるでしょう。
夢や希望はいくら強く念じても念じるだけでは実現はしません。
それに向けて行動を起こす必要があります。
行動を起こすかどうかに大きくかかわるものが自己効力感です。
自分ならできるのではないか、何とかできそうだ、いやできるだろう、と思えるかどうかです。
できそうに思えないことからは行動は生まれません。
「できる」と思うことが行動の起動力になる、これが自己効力感です。
自ら考え動く人
自己効力感を持っていれば、人は自分で考えて行動するようになります。言わば主体的に行動するようになります。
主体的行動には4つの要素が見られます。
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- 達成したい目標を持っており、その達成に意識を向けている(意図性intention)
- 自分の行動が何のためなのかを考え、日々の行動を選択している(先の見通しforeseeing)
- その時の状況に応じて自分の行動や気持ちをセルフコントロールしている(自己反応性self-reaction)
- 振り返りにより自分の行動を検証し、学習しながら自分自身を成長させる(自己省察性self-reflection)
つまり、主体的に行動するとは、目標に向けて意図的であり、見通しを持って行動を選択し、自らを励まし勇気づけ、振り返りにより学習しつつ、自らを成長させる行為ということになります。
そして、成長を下支えする原動力が自己効力感であると考えられます。
自己効力感が強い人は困難を避けようなどとは思わないでしょう。
むしろ困難は自分を成長させる糧であると積極的に捉え、目標達成に向かってチャレンジングに取り組みます。
自己効力感を大切にした人材育成
昨今の人材育成で短所よりも長所に目を向けるべきだというものがあります。
「できないこと」よりも「できること」に着目した人材育成が言われています。
これは自己効力感を意識したものだと思われます。
「できないこと」に目を奪われてくよくよと推進力を失うよりも、「できること」に着目し個性を伸ばすことで成長を後押ししようという考え方だと私は理解しています。
「できないこと」には目を向けなくていいという誤解はないでしょうか。
目標達成には「できないこと」ができるようになることが必要ですし、克服しなければいけない困難はつきものです。避けては通れないものがあります。
例えば、顧客との交渉は得意ですが、計数管理の苦手な営業マンがいたとします。営業マンとして成長には計数管理は必須ですが、これを避けては営業マンとしての成功はなりません。自己効力感を大義名分に苦手分野へのチャレンジを避けることがあっては永久に営業マンとしての成長はないでしょう。
「あなたは必ず素晴らしい有能な営業マンに必ず成長できる、なぜなら顧客との交渉力がこんなにも優れているから。だから交渉力をもっと磨こう、そして苦手な計数管理を克服することで目標は達成できる、だからしっかり取り組もう。」私なら、このようなメッセージを伝えるようにします。
私は、人材育成において自己効力感を大切にする意味は、個性を伸ばす、困難に対してチャレンジさせることにあると考えています。私の持論です。