№193 ワンセンテンスブログ 新しいアイデアが欲しい。でも、なかなか良いアイデアが浮かんでこない。誰もが悩む課題です。
梅田悟司氏は次のように述べておられます。
今日のワンセンテンス
『自分の可能性を狭めているのは、いつだって自分である』
出典『言葉にできるは武器になる』(梅田悟司著、日本経済新聞出版社)
梅田悟司氏は、株式会社電通のコピーライター、コンセプターです。
カンヌ広告賞の受賞をはじめ、多くの賞を受賞。知られているコピーライティングでは、ジョージア「世界は誰かの仕事でできている」、「バイトするならタウンワーク」 などを手掛けておられます。
また、TBS日曜劇場「99.9刑事専門弁護士」ではコミュニケーション・ディレクターとして番組宣伝を担当、その他東北六魂祭の立ち上げなども行なっている方です。
アイデアを制限する壁
梅田さんは、本の中で自分の考えを制限してしまう「壁」というものを説いています。
・常識の壁:
自分自身の中にある常識が先入観となって、思考を狭めてしまう。
自分の常識は他人の非常識になっていることが往々にしてあります。自分が思っている前提や信念が思い込みになっていないか、まず疑ってみることが、新しいアイデアが生まれるきっかけになることがあります。
・作業モードの壁:
「仕事だから」と考えることで、本音が出る余地がなくなる。
「仕事だから仕方ない」そんな考えに陥っていることはないでしょうか。「仕事だから」を理由に考えることを止めて諦めてしまうようなケースです。
本当はやりたくなくても、作業の勢いに流されるケース。仕方がない時には「粛々とやるだけ」という気持ちではアイデアは生まれません。
・専門性の壁:
つい専門性という武器を用いて、課題を解決しようとしてしまう。
ついつい自分の得意分野で処理しようとしてしまうものです。視野が狭い状態です。
餅は餅屋に任せるということも必要です。多様な人の力を借りることで、自身の視野が広がり、新しい発想を得る確率が高まるのではないでしょうか。
・時間の壁:
時間がなくなることで、焦ってしまい、考えることに集中できなくなる。
火事場のバカ力が出て、締め切りを前にアイデアが浮かぶこともありますが、重要な課題に対してはじっくり考えることが必要です。
・前例の壁:
過去の経験則から「おそらくこうなるだろう」と推測してしまう。
人間の学習能力の弊害です。経験則からは学習の効率化と深化・進化を可能としますが、一方でパターン化された考えは思考停止を生み、新しい発想が出なくなってしまいます。
・苦手意識の壁:
苦手というレッテルを自分に貼ることで、考えが萎縮する。
私は数学が苦手ですので、数字が計算を強いられる場面になると尻込みの意識が働きます。
失敗を恐れる防衛機制が働くことは、創造性にとってマイナスです。
「壁」は自分の中にある
6つの「壁」が紹介されましたが、この6つの「壁」は、誰かが邪魔をしているものではありません。
この「壁」はすべて自分の心の中にあるものばかりです。
創造性を発揮できないでいる原因は自分の中にあるということになります。
日常ではこのような「壁」の存在すら気づかないことがほとんどです。
私たちは、ときどき「壁」に当たっているのではないかという疑いの目を向ける必要があるのではないでしょうか。チェックしてみることで、私たちの内なる創造性が発揮されるようになるかもしれません。
「思い込み」についての記事も書いています。こちらの記事も創造性をろしければどうぞ。
阻害するメンタルモデル:「思い込み」創造へ一歩を踏み出させない原因 №093