2019年3月24日№145ワンセンテンスブログ(イチロー引退記者会見での言葉)
№144ワンセンテンスブログに続いて、イチロー選手の言葉をとりあげさせていただきます。
2019年3月21日の深夜に行われた引退記者会見「僕、大丈夫?と言いながら、感慨深く心境を語ってくれました。」
はじめに、イチロー選手の言葉
2019年3月21日23時55分からの引退会見でも心に残る多くの言葉を残しました。
ワンセンテンスながら、一部紹介をさせていただきたいと思います。
Q.28年間のプロ生活で「貫いたもの」は?
A.野球のことを愛したことだと思います。これは変わることはなかったですね。おかしなこと言ってます?僕、大丈夫?
まぁ子供の頃からプロ野球選手になることが夢で、それがかなって最初の2年、18歳19歳の頃は一軍に行ったり来たり。
行ったり来たりっておかしい? 行ったり行かなかったり?行ったり来たりっていつもいるみたいな感じだね。あれっ?どうやって言ったらいいんだ? 一軍に行ったり、二軍に行ったり? そうかそれが正しいか。(茶目っ気たっぷり!)
そういう状態でやってる野球は結構楽しかったんですよ。94年、3年目ですね。仰木監督と出会って、レギュラーで初めて使っていただいたんですけども、この年まででしたね、楽しかったのは。
あとはなんかね、その頃から急に番付あげられちゃって一気に。それがしんどかったです。でもそういう時間を過ごしてきて、将来はまた楽しい野球がやりたいなというふうに。
これは皮肉なもので、プロ野球選手になりたいって夢がかなった後は、そうじゃない野球をまた夢見ている自分がある時から存在したんですね。でもこれは中途半端にプロ野球人生を過ごした人間にはおそらく待っていないもの。趣味で野球をやる、例えば草野球ですよね。草野球に対してやっぱりプロ野球でそれなりに苦しんで人間でないと草野球を楽しむことはできないのではないか、という風に思っているので、これからはそんな野球をやってみたいなという思いですね
おかしなこと言ってます?僕、大丈夫?
野球のことを愛したことを貫く
「プロ生活で貫いてきたこと」という記者の質問にたいして、まず口をついて出てきた言葉は「野球を愛したこと」でした。
ある意味、イチロー選手ならそう言うだろうなぁと想像できる答えだと私は感じました。
「野球が好き」このことが根本にあったというのは間違いのない事実なのでしょう。
しかし、私たちが「旅行が好き」「人との出会いが好き」「ブログを書くのが好き」というのとは少々違うようです。
私たちが「好き」というレベルは、イチロー選手が語っていた、夢のプロ野球選手になれた時期、一軍と二軍を行ったり来たりしていた時期の「楽しい」というレベルと同じではないでしょぅか。
イチロー選手は1991年オリックス入団、1992年プロデビューです。
彼の言う「楽しかった」から「しんどかった」時期へと変わった3年目の年1994年という年は、仰木監督と出会い、レギュラーに抜擢され7年連続首位打者の最初の年にあたります。また、選手登録を「鈴木一朗」から「イチロー」に変えた時でもありました。
結果に対する周囲の期待、ただ「楽しい、野球が好き」では済まされない周囲からの期待と責任の重圧は想像を絶するものだったのでしょう。
彼が語った文脈は、野球を愛していたから重圧に耐えることができた、というように語っているのではありません。
彼が語ったのは、ものすごい重圧の中で「野球を愛すること」を貫き通せた、といっているのです。
イチロー選手は、茶目っ気を交えて語っていますが、この言葉は壮絶なことを語っているなぁ、と私には感じられました。
次の夢は草野球?
さらにイチロー選手の言葉が続きます。「趣味で野球をやる」ということです。
しかし、この言葉は「中途半端にプロ野球人生を過ごした人間には待ってない」感慨から来るものだと言うのです。
苦しみ抜いた後にやってくる境地とは何なのでしょうか。
これは想像でしかありません。
ようやく引退し重圧から解放されたので、これまで愛し続けることができた野球を、何も邪魔されることなく至誠から楽しみたい、という意味なのかもしれません。
引退はしたものの、まだまだ野球というものを通して、何かをしたいという意思表示なのかもしれません。
プロ野球での監督やコーチには「無理」としてならないことを語っていましたので、子供たちを教えるとか、何か社会貢献的なことを考えているのかもしれません。
最後に、「貫くもの」から学ぶこと
人間イチローさんの「野球のことを愛したこと」は、まだまだカタチを変えて貫きとおし、進化し続けるのでしょう。
私たちの場合は、イチロー選手のように格好よくはいきません。
私は、イチローさんのように「好きなもの、愛するものを貫き通した」と言える人生を歩みたいと願っています。
「好きなこと」は、苦労があっても「好きなこと」として貫き通せるかどうか、何度も試練を乗り越えて手放さない。そんな場面があって初めて本物と言えるのでしょぅ。
イチロー選手の言葉からそんなことを考え、学ぶことができました。
イチロー選手には、本当にお疲れ様、ありがとうと申し上げたいと思います。