2019年3月23日№144ワンセンテンスブログ(イチロー引退記者会見での言葉)
2019年3月21日、私たちのヒーローイチロー選手がとうとう28年間の選手人生を閉じることになりました。
様々な感動、教訓を与えてくれたイチロー選手。
ニュースでは「イチロー節」と報じているものもありましたが、イチロー選手の姿勢、言葉からたくさんの「気づき」をいただきました。
本当にお疲れ様、そして本当にありがとうと申し上げたいと思います。
はじめに、イチロー選手の言葉
2019年3月21日23時55分からの引退会見でも心に残る多くの言葉を残しました。
ワンセンテンスながら、一部紹介をさせていただきたいと思います。
Q.イチロー選手の今まで28年、今思い返して一番印象に残っているものは?
A.このあと時間が経ったら、今日が一番真っ先に浮かぶ、今日のことが浮かぶことは間違いないと思います。これは特別な最も特別な瞬間になりますけど、ある時までは自分のためにプレーすることがチームのためにもなるし、見てくれている人も喜んでくれるかなと思っていたんですけど、まぁニューヨークに行った後ぐらいからですかね、人に喜んでもらえることが一番の喜びに変わってきたんですね。その点でファンの方々の存在なくしては 自分のエネルギーは全く生まれないと言ってもいいと思います。
(沈黙)
えっ、 おかしなこと言ってます?僕、大丈夫ですか ?
「自分のため」から「ファンのため」へ
道を究めてきた人だから説得力があります。
普通は、自分がお金を稼ぎたい、自分の好きなことをしたい、成長したいと思って自分のために努力をすることはあたりまえです。
人の役に立ちたい、喜んでもらいたいといったことは、確かに私も思ったり、言ったりすることがありますが、普段やっていることはまだまだ自己中心的な考えのもと動いていることが多いように感じます。
イチロー選手も、当初は自分の努力は自分のためであり、その延長でファンの方々も喜んでもらえればいいと考えていたと話します。
ところが、ヤンキースに移った後頃からファンの方々に喜んでもらうのが一番に考え方が変わったそうです。
チロー選手は、1991年18歳でオリックスに入団、2000年までに日本で7年連続首位打者、2001年シアトルマリナーズへ入団、メジャー初年度から新人王、年間MVP、首位打者を獲得。その後2004年262安打MLB最多記録の達成、2010年シーズン200安打10年連続という偉業を成し遂げました。
そんな中、新天地ヤンキースへ移籍したのは、2013年のことでした。
イチロー選手の身に何が起こったのか、考えに転換が起こったきっかけについてはインタビューでは語られていませんでした。
イチロー選手の場合は、すべてを達成したからそのような感慨になったのでしょうか。
そうではないように思います。
なぜなら、イチロー選手はいつも過程の中にいる人だからです。
「明日もトレーニングをしていると思います」とインタビューでも語っていたように、自己成長をやめてはいないのだと思います。
「ファンの喜んでもらうため」がエネルギーになる
エネルギーの源はどこから来るのでしょうか。
「なりたい自分になる」という活力の源はどこから来るのでしょうか。
自分を成長させ、自分は幸せになる、という意欲、願いが活力の源になるのではないかと思います。
ただ、「なりたい自分になる」ということだけでは少々弱いように私には感じられます。
けっしてダメと言っているのではありません。
「弱い」というのは、「なりたい自分」は自分都合なので、容易に目標を変えたり、諦めたりしてしまえるという危険を多分に持っていると思われるからです。
イチローが語る「ファンに喜んでもらうため」というのは、自分以外の人の喜びや幸せに貢献することを目的とすることになります。
自分の努力に対して他者への責任感や使命感といったものが生まれることに繋がっていきます。
自分にコミットをするということは素晴らしいことだと思います。
しかし、強固な自分でいることはとても難しい。
他者へコミットするということも、ごまかしがききにくく、難しさは変わりません。
しかし、家族のため、他の人に喜んでもらうためというのは、他者からエネルギーがもらえる分、持続できるのではないかと思いました。
つらい時でも、妻や子供の顔を思い出したり、セミナー後に参加者の方々から感謝の言葉をもらった時に、継続へのエネルギーが湧いてきます。
他者貢献が最も力強いエネルギー源になるのではないかと改めて思いました。
最後に、感謝
イチロー選手は、プレーで私たちを楽しませてくれたり、感動を与えてくれました。
プレーだけではありません。
彼の言葉、生き様、存在からもたくさんのものを受け取ることができました。
選手としてもう見ることはできません。
イチローさんのひとつの通過点に感謝したいと思います。
人間イチローさんにはまだまだこれからが楽しみです。