2019年1月15日No.78 事実を見極め、仮説を立てて検証し、判断して対策を打つ、問題解決の基本的な思考パターンです。
空(事実認識)
まず空を見上げて空模様を確認します。快晴なのか、雲の広がり具合は、色はどうなのか、具合はどうなのか?事実は何かを確認することから始めます。
雨(事実解釈、仮説を立てる)
空模様を見るとどんよりと曇っている、西から黒っぽい雲がこちらへ移動してきている、雲が風が強まってきた。これは雨が降るに違いない、と判断します。
傘(判断・対策)
雨が降るだろうという仮説、判断に基づいて、その対策で傘を用意する「打ち手」を考えることになります。
このフレームワークは大手コンサルファームであるマッキンゼーで使用されていることで有名です。
単純には、「空」を見ると曇っている(事実)、どうも「雨」が降りそうだ(解釈)、そうだ「傘」を持って出よう(判断・対策)というように順を追って課題に対する解決を図っていく思考プロセスということです。
ビジネスマンの思考法の基本として身に着けておく必要のあるものです。
このフームワークの中で事実確認が最も重要です。
私たちは常識や事実と思っていることに解釈が入り込んでいることがあります。
思い込みの事実の上に仮説を重ねても、間違った判断や対策を打ってしまうことになります。
たとえば. . .。
あるパン屋さんが新商品を開発し、高級でボリューム感たっぷりのお得な総菜パンを店頭に並べ始めました。
ところがどうしても半分程度が売れ残ってしまいます。(空・事実)
店主は、売れ残るのは高級感とボリュームにこだわったために原価がアップしてしまったため、販売価格を高く設定し過ぎたからだと考えました。(雨・解釈)
そこで販売価格を1割程度値下げて販売することに決めました。(傘・判断、対策)
ところがいっこうに効果がありません。
ある日アルバイト店員が気づきました。
このパンを購入する人はほとんど男性で、しかも売れるのはお昼と夕方に限られるということでした。(空・事実)
そこで店主は、なぜ男性なのかということを考えました。よく調べてみると近所に工場やオフィスがあり、特に力仕事の男性が好んで買っていくということが分かりました。(空・事実)
店主は、開発したパンのボリューム感が空腹の男性に受けていると考えました。(雨・解釈)
そこで、工場で働いている人向けにチラシを用意するとともに夜勤者向けの総菜パンも売り出すことにしました。(傘・判断、対策)
また、女性に対してはボリュームがあり過ぎるという仮説を立てました。(雨・解釈)
そして対策として味をそのままにバリエーションを増やし、女性や残業食向けにボリュームを半分にしたパンを投入することにしました。(傘・判断、対策)
これらの対応により、新商品の総菜パンは大成功しました。
「安くてよいものは売れる」という常識は売れなければ価格に原因があるとして、ついつい価格を下げるよう対策を打ちがちです。
ところが、お客さんのニーズは必ずしも価格にあるとは限りません。しっかりとした事実認識をすることで有効な仮説を立てることができ、有効な対策を打つことができます。
「空・雨・傘」のフレームで一番重要なのは「空」です。
まず押さえるべき事実に余計な思い込みや解釈が入っていないかどうか、事実と解釈を分けて考えることがこのフレームワークを使うときのポイントになります。
その事実、本当に事実ですか?