「『好きなこと』」だけして生きていく」心屋仁之助 著 PHP出版社
「『好きなことだけをして生きていく』もしそんなことができたら幸せですよね。」そんな言葉から本書は始まります。
生きていくということには様々なことに関わっています。
そんな中で「好きなこと」だけを選んで生きていく、そんなことができるのだろうか?
嫌なことに直面し、乗り越えていかねばならないのが人生。
「わがまま」「身勝手」という言葉が頭の中に浮かんできました。
頑張っても報われない
頑張っても報われるとは限りません。
会社のため、人のため、世の中のためと頑張って努力しても、報われる場合もあれば、そうでないこともある、ある意味、当たり前のことです。
「頑張って認められたい!」というのは「認める」主語が他人である以上、究極には自分のコントロール外のことになりますので、自分の力は及びません。
確かなのは「自分」です。「認める」主語が自分であれば自分のコントロール内のことです。
他人に認められようと期待すると一喜一憂は避けられません。それよりも、自分の価値を信じて自分を認める方が確実に充実感を味わうことができます。
他者に認めてもらおうと他者基準で行動するよりも、自分で自分を認める自分基準で行動するという考え方の方がより自信に満ち積極的に生きていけるのではないでしょうか。
他者基準でものごとを考えれば「嫌なこと」「報われないこと」だらけになってしまいます。
自分に価値があるとし、自分基準で考えれば、「好きなこと」「報われること」だらけの人生になるということです。
心屋仁之助氏の言っていることとは違うかもしれません。
会社のため、他者基準で生きるのはやめましょう、というメッセージを受け取りました。
好きなことをしていると幸せがやってくる
「好きなことをすると自分らしく生きられるようになり、人生が楽しくなり、自由になり、人に優しくなれる」
「自分には価値があると決めると、価値のある人生がやってくる」という言葉に納得です。
自分の価値に気づき、自分基準で生きることは幸せにつながります。
「好きなこと」をすると”正のスパイラル”に入っていくということなのでしょう。
今回立花Be塾に参加するのも、自分のやりたいことをいろいろ考えるうちにブログをやってみようと思いついたことがきっかけですが、思い立った「好きなこと」を行動に移すだけで、今までとは違う世界と出会い、興味関心が広がっていく、興味関心の広がりが新しい行動を生み出す、行動をすれば新たな可能性が広がっていく、”正のスパイラル”を感じるところです。
この生き方に幸せを感じるとともに、この「あり方」そのものが幸せなんだろうな、と感じます。
本書では、「幸せ」の表現でお金を稼ぐこと、いわゆる世間での成功を「幸せ」としているようです。
何をもって「幸せ」とするのかはそれぞれなので、私が思うにはこの表現に対しては疑問符がつきます。
「世間」での成功や幸せは「世間」の成功や幸せであって自分自身の成功とは限りません。「世間の」と言った時点で他者基準です。
「成功」と「幸せ」は必ずしも一致しません。
好きなことをするためには一番いやなことをする必要がある
好きなことを始める第一歩は自分以外の人から受ける評価を気にしないと覚悟を決める必要があります。これが一番難しい。
人は社会の中で生きているので他人と無関係に生きることはできません。
会社の上司から認めてもらいたい、仲間から一目置かれたい、家族から尊敬されたいなど、他人からの評価を欲しています。嫌われることで組織や共同体から仲間外れにされることを恐れています。
好きなことを始めるということは、今の組織や共同体のしがらみから決別する勇気が必要ということになります。思いきることで、自分の「好きなこと」に共感する新しい共同体への道が広がるということなのでしょう。
「嫌われる勇気」(岸見一郎著 ダイヤモンド社)を思い出しました。
自分基準で生きるということはから嫌われることを受け入れる勇気が必要です。
「いいこともわるいことも受け取って人生を味わう」という言葉には共感しました。
自分基準で生きるということは、「味わう」という心の余裕が必要だと感じました。
好きなこと
今勉強しているのはファシリテーション・コーチング・キャリアコンサルティングを中心に人や組織の成長に関わることで仕事にも関係しつつ好きで取り組んでいます。
趣味では、走ること、謡・仕舞、絵を観ること、最近隅田川の夜景の写真を撮りまくっていますし、俳句にも興味があります。
走ることは20年以上続いていますが、夜景の写真はここ数カ月の「好きなこと」です。
仕事の内容が変わればファシリテーションやコーチングからも遠ざかっていくでしょう。「好きなこと」というのは移ろっていくものです。
「好きなことには理屈がない」ということはその通りと思います。「好きなこと」には本来損得はありません。
好きなことが仕事と重なって飯のタネになっていると理想的かなと思います。長く好きな状態が続けば、それがお金を生む結果につながるかもしれません。
移ろっていくもの、理屈のないものだけして生きていくということには、どうしても不確かで不安を感じます。
本書の中で「『好きなことがない』と言っている人も、本当はいつも好きなことを選んでいるのです」(P.168)という行がありました。
「椅子に座ってどこに足を置くのか、照明をつけるのか、飲み物をそばに置くのか」刹那、刹那で、数ある選択肢の中から自分で「好きなもの」を選んでいるということです。
「好きなことだけして生きていく」の意味を「自分が決めて生きていく」と捉えればスッと腑に落ちます。
他人に嫌われようとも勇気をもって、自分で自分の行動を選んでどしどしやっていく、そのことに自信をもつ、そんな生き方をしようというメッセージを受け取りました。「自分基準で生きていく」ということです。
最後に
本書全体に、気ままに、自由に生きる、そうすることで成功するということが溢れており、くどい感じがしましたが、”呪縛”を解くには、これぐらいのしつこさが必要なのかもしれません。
「すきなことだけして生きていく」ということには共感します。
呪縛を解いて一歩踏み出していくと”正のスパイラル”が待っているということも良く分かります。
いろいろと考えさせられる本でした。
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