№205研修講師をしているとついついカリキュラムの進行に意識がいってしまい、受講者の状態に気づかない場合があります。
受講者が研修をどのように受け止めているのか、退屈に感じているのか、早めに察知して対応したいものです。
今回のブログでは、受講者の研修へのネガティブサインに対してどのように対応するかについて、私自身の「気づき」について書きとめておきます。
研修でのチェックイン
どんな研修でも、まずは受講者にチェックインをしてもらいます。意識を研修に向けてもらう目的です。
最初に、研修の目的、プログラム概要、スケジュール、会場案内など、オリエンテーションとして一通りの説明を行います。
但し、これだけでは受け身の状態ですので、受講者に自己紹介を交えながらアイスブレーク的に能動的なワークをしてもらいます。
私がよくやるのは「Good & New」で、最近の良いニュース、新しい情報について受講者に考え語ってもらいます。
このように少し緊張を解いて「場」を温めてスタートさせるのですが、プログラムが進むにつれて、まばらに「場」が冷めてくることになります。
そもそも自ら進んで研修に来ていない人もいるわけですから、どんどん状況は悪くなっていきます。
受講者のネガティブサイン
「場」が冷めてくると受講者の腕組み、足組み、ふんぞり返った姿勢、下向き姿勢、よそ見が多くなってきます。内職仕事や居眠りは末期症状で、講師としてつらいものがあります。
緊張や警戒のしぐさとして有名なのは「腕組み」です。拒否のポーズとも言われますが、聞く耳を持っていないネガティブなサインの一つです。
また、足元は上半身より無意識の状態を表現するようで、ヒラリー・クリントン氏の例では、自分がPRしたい内容を話す時は足が相手に向き、ネガティブな状態の時は足を引いて交差させる、という「しぐさ」が有名だったそうです。
個人の趣向や癖に過ぎないと見ることもできますが、動作の変化が起こった時に着目し、気持ちの変化が起こったと察知すると良いとのことです。
研修の最中に腕組み、足を組んでいる人が目立ってくるといった「しぐさ」の変化があれば、研修の進行に「黄信号」が灯ったと認識すると良いでしょう。
「しぐさ」の誘導で心をオープンにさせる
「黄信号」が灯ったらどのように対処すれば良いのでしょうか?
講義の時間が長いようであれば、休憩を入れたり、受講者に質問をしたり、演習の時間に切り替えて受講者に作業をしてもらうなどの工夫をするのが一般的です。
日経新聞電子版(2019.6.18)に「しぐさ誘導で警戒心を解く」(国際ボディランゲージ協会代表理事安積陽子氏)という記事がありました。
「オープンな動作に誘導する」というアプローチです。
動作によって心理状態が誘導されることは知られています。
「腕を組んだ状態」は聞く耳持たぬ拒否の気持ちを増幅させていることになります。
逆に「腕を組まさない」ように働きかけることで、拒否の気持ちをブロックし、オープンな気持ちに誘導することができるそうです。
ということは、資料を手に取らせたり、下線を引いてもらったり、手に何かさせるようにうまく動作を誘導して腕を組ませないようにすることも「あり」です。
ちょっと目から鱗の気づきでした。
最後に、受講者の「しぐさ」に着目した働きかけ
研修講師をしている時、受講者の研修へのネガティブサインに対してどのように対応するかについて考えてきました。
「気持ちの変化がしぐさ(動作)に現れる」ことから対処のサインを読み取り、「しぐさ(動作)によって気持ちを誘導できる」ことで対処ができるということです。
研修をしている最中に腕組みが多くなってきた、そんな変化を感じたら、受講者がネガティブな気持ちになり始めたと気づく、それとなく腕を組ませないように手で作業をさせる。
元気が足りないと思ったら、意識的に大きな声をだしてもらう機会をつくることもよいかもしれません。
何かと受講者の興味を引くような話題を、演習など、飽きさせない工夫を考えるのですが、まずは受講者の姿勢そのものをオープンなものへ変えさせる働きかけが単純で効果があるということです。
受講者との「しぐさ」に着目した対話をすることも「あり」だと気づきました。
以前、私が受けた研修で、講師の方が「腕組み」の意味を教えた上で、研修中に腕組みをする受講生を見つけるたびに「みぃ~つけた!!!」とおもしろおかしく研修を進めていたことを思い出しました。
私の研修でも実践してみようかな!?