職場でのコミュニケーションの目的を考える/コロナ禍だからこそ大切にしたい

№275 コロナ禍になってコミュニケーションについて考える機会が増えました。

在宅勤務が増える中、職場にオンラインでのコミュニケーションが普及しつつあります。

オンラインで従来と同じようなコミュニケーションは可能なのか、どのように行っていけばよいのか、今後コミュニケーションはどのように変わっていくか...。

マネジメントの現場では「コミュニケーションをしっかりとるよう」言われます。今だからこそ職場でのコミュニケーションの大切さが語られる場面が増えています。

今日のワンセンテンス

「コミュニケーションの目的は何ですか」

この質問を今日のワンセンテンスにあげてみました。

「コミュニケーションをしっかりとろう」「コミュニケーションは大切だ」と言う時、このことについて誰もNOとは言わないでしょう。

そのフレーズが、あたりまえの言葉として聞こえる時、人は具体的な行動を起こしにくいものです。

なぜなら、その言葉は頭に入ってはくるものの目的に曖昧で動機に欠けるからです。

職場でのコミュニケーション

上司と部下、職場でのコミュニケーションを考えてみます。

コロナ禍以前であれば、事務所で毎日顔を合わせていましたので、職場メンバーの姿、声、様子は目に入りますし、話をしたいと思えばすぐに声掛けができる状態でした。

「あなたは部下とコミュニケーションがとれていますか?」と管理職の方に質問をすると、「とれている」と回答する人は多いのではないでしょうか。

コロナ禍で在宅勤務が増えました。

職場で直接顔を合わせる機会が減り、より密なコミュニケーションが必要だと意識する人も増えています。

新しく定例のオンラインミーティングを設定したり、頻度を増やしたり、SlackやMicrosoft Teamsなどチャットツールを導入したり、工夫している組織が増えています。

逆に平時よりもコミュニケーションが活発になっているのではないかとさえ思う時があります。

ここまで考えてふと思いました。

そもそもコロナ禍以前にコミュニケーションってとれていたのだろうか?

とれていると思い込んでいただけなのではないか?

「コミュニケーションがとれていたのか? 本当?」と問われると私は「とれていた」と言う自信がありません。

ここで「つもり」になっていただけだったことに気づきました。

業務目標達成のコミュニケーション

コミュニケーションという言葉は便利なもので、それが大切だと言えば誰もが納得してしまいます。

しかし、コミュニケーションの目的をどのように捉えるかによって「コミュニケーションを大切にする」に対するアクションが変わります。

職場でのコミュニケーションの目的を業務目標達成のためのものと考えてみます。

コミュニケーションの内容は、上司からの指示命令や部下からの報告連絡相談を中心とする情報になります。

これを強化するとなると、ミーティングの頻度が増えたり、報告書内容がより詳細になったり、枚数が増えたりします。

特に在宅勤務が増えると上司には部下の行動が見えにくくなります。

部下が信じられず疑心暗鬼に陥ってしまうと、指示命令をより細かく伝えようとしますし、進捗状況やトラブルなどの報告連絡相談を頻繁に求めるようになります。

ここでのコミュニケーションは上司中心になる傾向が強くなります。

つまり上司目線で上司が伝えたいことを伝え、聞きたいことを聞くというコミュニケーションになります。[上司>部下]

信頼関係構築のコミュニケーション

コミュニケーションの意味を職場での信頼関係の構築と考えてみます。

コミュニケーションの内容は、上司からは部下を信じて任せる期待であったり、部下からは上司を信じて期待に応える意欲や責任感であったり、目標への共感や職場の安心感であったり、感情面の情報が大切になってきます。

ここでのコミュニケーションは部下中心にするのが良いでしょう。

上司は徹底して聞くという姿勢が求められます。[上司<部下]

信頼関係をつくるには、部下が何をしようとしているのか、普段どのような思いで仕事をしているのか、何に困っているのか、上司が部下の行為、存在そのものをまずもって受け入れることが必要です。

感情面のやりとりは、報告書では不向きですしミーティングの頻度を上げたからといって十分になされるわけではありません。

ミーティングのありようが問われます。

上司からは部下の話を聞いているつもりでも、部下の話を遮ってアドバイスと称して自説を押し付けていることがよくあります。

「あなたの話はわかるけど」の「けど」というのは曲者です。結局部下の言い分を否定しています。

攻撃にあうと部下はこれ以上話しても無駄と思って以降は何も話さなくなります。

「けど」という言葉によって信頼関係構築のコミュニケーションから業務目標達成のためのコミュニケーションに転換してしまいます。

「けど」という言葉は相手を否定して自説を述べる時の言葉になるので注意が必要です。

コミュニケーションの目的を考える

コロナ禍では、業務目標達成のためのコミュニケーションはオンラインツールの普及でより精緻になってきました。

今、大切にしなければならないのは信頼関係構築のためのコミュニケーションなのではないでしょうか。

このことはコロナ禍にはじまったことではなくBeforeコロナでも同様だったのかもしれません。

以前に比べてコミュニケーションに焦点が当たっている今こそ信頼関係構築のためのコミュニケーションを意識する時です。

コミュニケーションを大切にしようと考える時、「コミュニケーション」という言葉でくくらずにその目的や内容を考えてみると良いです。

皆さんが今大切に思う「コミュニケーション」の目的は何ですか?

この記事を書いた人

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西口満

「気づきによる学び、自ら成長する」を支援し、ひとりひとりのウェルビーイングの実現と生産性の高い職場のチームづくりを行い、企業や社会の発展に貢献する

ビジネスリーダー育成コーチ、
人事戦略のコンサルティングをしています。

プロフェッショナルとして「人の成長」に関わり続けることをライフワークとし、少しでも誰かの成長のお役に立てれば幸いです。

ブログでは、そんな私が学んだこと、気づいたこと、感じたことを発信し、誰かの、何か、前進のヒントになればと思っています。

これからも情報を発信し続けます。

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