№274 TED人気動画「優れたリーダーはどうやって行動を起こすか」のサイモン・シネックの言葉を取り上げました。
今日のワンセンテンス
本物のリーダーは私たちを奮い立たせる
個人であろうが、組織であろうが、私たちは
従わざるを得ないリーダーではなく、従いたいとみずから望むリーダーについていく
出典『WHYから始めよ!インスパイア型リーダーはここが違う』(サイモン・シネック、栗木さつき訳 日本経済新聞社)
幸せはWHATから生まれますが、充実感はWHYから生まれるのです
出典『FIND YOUR WHY あなたとチームを強くするシンプルな方法』(サイモン・シネック、島藤真澄訳 ディスカバー・トゥエンティワン)
『WHYから始めよ!』は、優れたリーダーの法則としてWHYから始めることを説明しています。
また、『FIND YOUR WHY』は、自分自身や組織のWHYの見つけ方が述べられており、ワークショップの方法についても解説があります。
いつか私自身もワークショップを開いてみたいです。
リーダーシップを考える手掛かりとしてこの2冊の本をお勧めします。
リンク⇒TED「優れたリーダーはどうやって行動を促すか」の動画
ゴールデンサークル
「ゴールデンサークル」はサイモン・シネックの有名なモデルです。
スティーブ・ジョブズ、マーティン・ルーサー・キングやライト兄弟のような伝説のリーダーがなぜリーダーシップを発揮できたのか、大きな成功を収めたか、この同心円状のモデルを使って説明しています。
- WHAT:何をするか、その人の仕事そのもの、ビジネスでは製品やサービスそのもの
- HOW:どのようにするか、その人のやり方、ビジネスなら差別化された方法・戦略・行動指針など
- WHY:なぜそれをするか、存在意義や大義のこと
WHATについては、自分が何の仕事をしているのか、自社が何を提供しているのかを簡単に言うことができます。
HOWについても、自分がどのように仕事をしているか、ビジネスでは他社と差別化のためのノウハウなども説明しやすいです。
しかし、WHYは日常に埋もれて顧みられないことが多いですし、そもそもなかったりすることもあるかもしれません。
イソップの寓話
旅人が3人のレンガ職人と対話をするイソップの寓話があります。
「ここでいったい何をしているのですか?」
1人目は「レンガを積んでいるのさ」と答え、辛い仕事で不平不満を言いました。
2人目は「大きな壁を作っているのさ」と答え、家族を思い、生活のために働いていることに感謝していました。
3人目は「歴史に残る偉大な大聖堂を作っているのさ」と答え、大聖堂の完成後にそこに集う人々の幸せを考えていました。
WHATはレンガ、壁、大聖堂です。何をしているのかと問われると普通こたえられる部分です。
HOWはここにはでてきませんが、レンガの積み方、工程、施工技術にかかわる話、大勢の職人のマネジメントの話、完成後の大聖堂の他にはない美しさ、素晴らしさが相当します。
WHYは3人目の「完成後にそこに集う人々の幸せ」のために働いているということです。自分のやっていることが世の中の人々に対してどのように役立つか、世の中での自分の活かし方、役割を指しています。
2人目も家族を養うためという目的を持っていますが、だれもが生活のために働いており、「私は生活のために働いている」というリーダーに共感してついていこうとは思いません。
WHYには、自分の行為行動が他者に影響を及ぼし、何を実現したいかという社会への貢献がなければリーダーとしての共感は得られません。
WHYの表現はオーソドックスには、「__________することで、_________になる」となります。前半が自分の貢献部分、後半が自分の貢献により実現したいことです。
WHYから始めるということは、まず自分の存在理由から考え、その具体化としてHOW、WHATを考えるということです。
3人のレンガ職人の10年後の後日譚です。
1人目は相変わらず不平不満を言いながらレンガを積んでいました。
2人目はとび職に転職をして、危険ながらより高い賃金をもらって家族を養っていました。
3人目は大聖堂建築監督として多くの職人を育て、大聖堂の一角に名を刻み、歴史に名を残しました。
WHYからすると3人目は大聖堂建築の監督として世界中に聖堂を立てる機会を得て多くの人々に至福の時を提供することになっているかもしれませんし、ひょっとしたら学校や孤児院を建築してより多くの人々の幸せを実現するようになっているかもしれません。場合によっては聖職を志して新しい道を歩んでいるかもしれません。
手段や成果よりもまずは志ということになります。
なぜ仕事をするのか?
「あなたはなぜ仕事をするのですか?」と質問されると何と答えますか?
多くの人は生活のため、お金を稼ぐためと答えるのではないでしょうか。私もそうです。家族を養うため、家族と自分が不自由なく幸せに暮らすために働きます。
“達成感”を得るためと答える人もいるでしょう。営業マンで目標売上を達成した、研究開発で新しい製品を開発した、プロジェクトを完了させたなど達成したときに幸せを感じます。
また、クライアントからありがとうと言われたときにも幸せを感じます。自分の仕事が誰かの役に立ったときにも幸せを感じることができます。
なぜ仕事をするか、いう質問に対するひとつの答えは「幸せのため」ということになります。
幸せはWHATから、充実感はWHYから得られる
サイモン・シネック氏は、次のように述べています。
誰もがやる気いっぱいの状態で朝目覚め、一日の終わりに仕事の充実感で眠りにつく、そんな人生を送るべきです。
幸せと充実感の違いは、何かを好きなことと、愛することの違いとも言えます。たとえば、自分の子供のことを常に好きではいられないこともありますが、常に愛しているはずです。仕事で毎日幸せを見つけるわけではありませんが、何か大きな力になっていると感じることができれば、毎日の仕事に充実感を覚えることは可能です。(これこそが報酬や地位という一般的な基準では成功していても満たされないと感じる理由です。充実感は、私たちの仕事がWHYと直接つながったときに生じるのです。)
お金は働いた結果であって働く目的には含まれません。お金はWHATからくるもので、ある時ない時に左右され、買うことでWHATに直結します。また、お金があるからといって幸せかというと幸せでない人もいます。年収300万円で幸せを感じている人もいれば、2,000万円を得ていても日々不平不満に生きている人もいます。
達成感も、朝起きて夜眠るまで、あるいは一年中ずっと感じているわけではありません。達成までには困難もあり、達成は一瞬の出来事でその後の印象はどんどん薄れていってしまいます。組織であれば自分の意思からではなく、指示によってしかたなくやらされていることもあるかもしれません。
クライアントからの感謝も一瞬で、いつも感謝されているわけではありません。うまくいかない時や失敗する時もあります。
WHATである仕事そのものから得られるものはその場限りのものです。
日々感じることができる充実感はWHYとつながっています。
大きな目的に貢献している時に人は充実感を覚えます。うまくいかない時も失敗も充実感の中に含まれて途切れることがありません。
「WHYから始めよ!」では、WHATやHOWがダメといっているのではありません。
それがWHYからやってきたもので、WHYといつもつながっていることが大切だということです。
・あなたのWHYは何ですか?
サイモン・シネックのWHYは「やる気になれることをするよう人々を鼓舞することで、人びとが共に世界を変えるようになる」です。
WHYの言語化のコツは、「__________することで、_________になる」です。
前半の空欄は他者の人生にあなたがもたらす「貢献」を表します。後半の空欄は貢献による「影響」です。
私のWHYは「人々の気づきと学びを促し成長を支援することで、社会がイキイキと充実感で満ちた人々でいっぱいになる」としました。『FIND YOUR WHY』のガイドに従って考えた結果です。
あなたのWHYは何ですか?
もし、本当のリーダーになりたいと考えるならば、
あるいは、毎日を充実感で満たしたいと考えるならば、
しっかり答えを出しておきたい質問です。