人間関係「コンテントとプロセス」、会話の中で起こっていること

№250 南山大学の人間関係研究講座での学びです。

自分の伝えたいことがキチンと伝わる。相手の伝えたいことがキチンと理解できている、ということがコミュニケーションの基本です。

より良いコミュニケーションを考える時、会話の中で何が起こっているのかを考えることはとても重要です。

コンテントとプロセス

会話で何が起こっているのかを検討する時の視点として次の2つがあます。

  1. コンテント :会話の内容そのもののこと。課題や仕事内容などの語られているもの。
  2. プロセス :会話をしている当事者どうしの関係性にかかわること、会話の流れそのもの、会話の過程で起こる様々なこと、感情の動きなど。

会話をしている二人に、「今何を話していたの?」と聞くと、話題の内容について教えてくれます。

しかし、会話では話題といったコンテントの他に感情の動きがあったり、話してから聞き手への表には出てこない力が働いていたり、いろいろなことが起こっています。

これをプロセスと呼びます。

休日計画についての会話(コンテント編)

AさんとBさんで週末の日帰り旅行の行き先についての相談をしています。

A「今度の休みにはどこ行きたい?」

B「どこ行きたいって急に言われても...」「鎌倉なんてどうかな」

A「私はすみだ水族館がいいと思うな。最近疲れてるし、クラゲなんて見てると癒されるのよね」

B「鎌倉も古都の雰囲気があって癒されるんじゃない...水族館でもいいけど。」

A「断然、水族館で決まりね」

B「そうね、行ったことないし...」

A「じゃあ、11時にとうきょうスカイツリー駅の改札口で待ち合わせね」

B「分かったわ」

この会話の中で話している事柄がコンテントにあたります。

休みにどこに行きたいのかということ、候補の場所、結論、待ち合わせ時間・場所、クラゲを見ると癒される、古都の雰囲気のある鎌倉で癒される、など会話で取り扱われている内容すべてです。

休日計画についての会話(プロセス編)

AさんとBさんで週末の日帰り旅行の行き先についての相談をしています。

A「今度の休みにはどこ行きたい?」

B「どこ行きたいって急に言われても...」「鎌倉なんてどうかな」
⇒Aは一応聞いてくるけどいつも行くところは決めているのよね、どうせ言っても無駄。

A「私はすみだ水族館がいいと思うな。最近疲れてるし、クラゲなんて見てると癒されるのよね」
⇒Bに聞いてもいつもなかなか決まらないのよね、それよりBも最近疲れてるようだし、前に一度行ってみたいって言ってたし...。

B「鎌倉も古都の雰囲気があって癒されるんじゃない...水族館でもいいけど。」
⇒やっばりそう。行く場所決めてたんじゃない。鎌倉も癒されると思うけどなぁ。

A「断然、水族館で決まりね」
⇒やっぱりBは優柔不断ね。私が決めてあげなきゃ。Bも笑顔だし嬉しそう。

B「そうね、行ったことないし...」
⇒気が進まないけど、Aが怒り出すといけないから、笑顔でごまかそう

A「じゃあ、11時にとうきょうスカイツリー駅の改札口で待ち合わせね」
⇒ランチのお店も調べとかなきゃ

B「分かったわ、ランチはどうする」
⇒憂鬱な日になりそう、せめておいしいものでも食べたいな。

矢印で表現したものがプロセスにあたります。

行き先が水族館に決定するまでに交わされる言葉の他にAさんとBさんの心の動きがありました。

Bさんの心の動きとしては、どうせ言っても無駄と思いつつ鎌倉を提案、やっぱり却下されてがっかりし、すこし鎌倉に未練を残しつつ、Aとの人間関係に配慮して諦める。ランチに期待することで気持ちを切り替えようとする、などが言葉には表れないものが隠れていました。

Aさんの心の動きとしては、Bの優柔不断を考えて一応は聞いてみるもののやっぱりはっきりと言わない、疲れている様子だし、以前行きたそうにしていた水族館に連れて行って元気になってもらいたい、おいしいものを食べると笑顔も見れるかななど、Bさんを思いやる心情がありました。

思い違いすれ違いなども会話の中にはあり、コミュニケーションの「プロセス」として存在しています。

良いコミュニケーションのために

コミュニケーションを考える時、コンテントとプロセスの両面で考える必要があります。

ところが通常私たちが着目するのは、会話の中のコンテントが主でプロセスについてはあまり目を向けません。

COMMUNICATIONが「意思疎通」と訳されているように、コミュニケーションの良し悪しを考える時には、意思内容(コンテンツ)が相互に正しく伝達されているかどうかを問題とします。

会議の議事録はコンテンツの記録です。

コミュニケーションは伝言ゲームではありません。

コミュニケーションを考える時には、コンテントとプロセスの2つの視点を考えなければなりません。

特にプロセスは表に出てこないので厄介です。

そのため、特にプロセスに着目する必要があるのです。

会話の中で何がおこっているのか

プロセスに目を向けるために常に意識しておくべき「問い」です。

この「問い」を自身に投げかけ続けることで、会話を観察する態度が養成されます。

会議においては「会議室で何が起こっているのか」に意識を向けることです。

会議の中では議論に加わる必要がありますが、意見を交わしつつ、同時に第3者的に自分と相手、自分と会議参加者を俯瞰してみます。

そうすることで、コミュニケーションの良し悪しを考えることが可能になります。

会議の後で、あるいは面談の後で、会議や面談についてお互いに振り返ってみるのも良いでしょう。

良いコミュニケーションのためには、プロセスを観る態度を身に着けることが大切です。

以上、南山大学の人間関係研究講座での学びでした。

参考:テキスト「人間関係トレーニング」ナカニシヤ出版

この記事を書いた人

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西口満

「気づきによる学び、自ら成長する」を支援し、ひとりひとりのウェルビーイングの実現と生産性の高い職場のチームづくりを行い、企業や社会の発展に貢献する

ビジネスリーダー育成コーチ、
人事戦略のコンサルティングをしています。

プロフェッショナルとして「人の成長」に関わり続けることをライフワークとし、少しでも誰かの成長のお役に立てれば幸いです。

ブログでは、そんな私が学んだこと、気づいたこと、感じたことを発信し、誰かの、何か、前進のヒントになればと思っています。

これからも情報を発信し続けます。

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