チーム一丸、スピード運営で成果を出す方法『4倍速で成果を出すチームリーダーの仕事術』

№219『4倍速で成果を出すチームリーダーの仕事術』(高橋恭介著PHP研究所)を読む中で、仕事の進め方、人材育成についての多くの気づき、学びがありました。

リーダーシップやチームマネジメントを企業成果に結びつける、人材育成を考える上でたくさんのヒントが得られました。私が特に”なるほど”と思った点についてまとめてみました。

1.チームの目標設定方法、ベクトルの合わせ方(ブログ№218)(前編)
2.チーム一丸、スピード運営で成果を出す方法(ブログ№219)(本ブログ)

企業での人事制度改革、企業風土の活性化にご興味のある方にお勧めです。

今回はブログ№218からの続き、チーム運営についてのまとめです。

実行のスピードアップ

『4倍速で…仕事術』では文字通り4倍速の高速でのマネジメントを言っています。

4半期ごとのPDCA

目標をプロセスKPI、行動目標へとブレークダウンすることについては先に紹介した通りですが、スピードアップのコツは目標を4半期ごとに設定することです。

通常、企業では目標設定は6カ月ごとの半期単位です。日々のマネジメントをしっかりやるという意味でも4半期の中間チェックは当然のことですが、いい加減な運営になりがちです。

また、3カ月もすれば状況が変わり目標の見直しが必要になることが多くなりました。惰性で走って対応が遅れてしまいます。

4半期サイクルは、着実に前進することになるばかりか、戦略戦術の早期の軌道修正になります。

即実行の目安

少しでも成功が勝るのであれば、即実行せよ!と『4倍速で…仕事術』では言っています。

“「成功:失敗の見通しが51:49なら即実行せよ」”

先行きの不透明な時代、成功の確証が得られることはありません。だからこそ、4倍速で試行錯誤をするという発想です。

高速で試行錯誤を繰り返し、検証、軌道修正することで、成功確率がどんどん上がっていくとも言っておられました。

メンバーとの伴走

高速マネジメントによる人材育成については電話の活用を勧めておられます。

デジタル時代です。電子メールは、時間を選ばない、文字が残ることで指示が明確確実に伝わるメリットがあります。しかし、文字は意外と時間がかかる、きめ細かいニュアンスが伝わらない、メンバーの心情が分からない、といったデメリットがあります。

どちらかと言えばチーム一丸のためのメンバーへのかかわりとして相応しいのは電話ということになります。

電話でのコミュニケーションでの大事なコツは、「ワンコール・ワンポイント」とし、短時間、複数回、タイミングとすることです。

1on1の面談を導入している企業も多くなってきています。コーチングでも短時間でマメに行うことで、メンバーと寄り添ったマネジメントが脚光を浴びています。

時代に逆行すると見られがちですが、電話を活用するという考えを見直す時かもしれません。

週次定例会議でのチェック

高速で4半期のマネジメントをしていくには業務サイクルに合わせて、週次の定例会議でチェックを進捗をチェック行います。

その際に会議を報告会にしないこと。会議の目的をハッキリとさせ、意思決定する場にすることです。

会議の目的を尋ねれば、「情報の共有化のため」という言葉が返ってくることが多いです。担当者が順番に報告、リーダーがコメントする、しかし他の担当者は遊んでいる、そんな会議の光景が思い浮かびます。

時間の無駄といわれる所以です。

「情報の共有化」は何のためにするのか。「情報の共有化」によって各自が次のアクションを決定するという目的を忘れているのです。

目標設定においてKPIが定量化されていれば、進捗分析も、報告資料の作成も容易です。議事録を作成する必要もありせん。

有効な施策だけを残す業務の断捨離

メンバーの数が限られる中、多くの施策を試行錯誤し、業務スピードをアップさせるには「やらないことを決める」ことがチーム運営にとって必須になります。

例えば、100のタスクを実行することで20の新しいタスクが発生します。これを限られたメンバーで120を実行するような無理をすればやがてチームは破綻します。100の内の20をやらないことを決め、新しい20を組み込みことになります。

しごく当たり前なことです。しかし、なかなか実行できることではありません。

これを実行するにはどうすればいいか?

試行錯誤のスピードを上げるしかないと思い至りました。

施策実行のスピードを上げることで、施策の有効性を早期に判定し、「やらない」を判断する。4半期ごとの4倍速だからこそ可能になるのではないかと思います。

業務断捨離にあたっては、あるKPIでプラスになっても他のKPIにマイナスに働いていることがあり「木を見て森を見ず」にならないようにする、忙しさのあまり手を緩めて効果を確かめることなくお蔵入りさせないよう必ず実行を確かめるなど、いくつかの注意事項が書いてありました。

また、断捨離をしないチームがあるとすれば、それは「新しいことをやっていない証拠」とありました。この言葉はとても厳しい言葉だと思いました。

二毛作発想「これは自分たちの仕事ではない」と思わない

例えば、店舗の営業担当者が店舗の外に出ていく発想、イベントへの出店を考えたり、法人営業を考えたり枠を設けずに営業施策を考えることです。

事務間接部門は販売はしませんが購買する機会は多いです。そこで購買先に自社商品のPR等広報活動をする、お互いの顧客を紹介し合うといった活動を行うことができるはずです。

私の場合は、企業内で人材育成を担当していますが、自社の営業と同行で顧客訪問をし、営業サポートの一環で顧客の自社商品説明会と抱き合わせで研修を行ったことがあります。

要は、経営資源をあらゆる視点で活用できないか考えるというものです。

セクショナリズムに陥らず、経営資源を最大限活用する発想は経営のスピードアップにつながります。

リーダーの任せる勇気、信じる強さ

メンバーの成長のためには、リーダーの仕事を渡していくことが大切です。

リーダーの心得としては、勇気を持って渡す、メンバーの成長を信じる、ということです。

また、このことはリーダー自身の成長のためにも必要です。

仕事を渡すと言ってもメンバーへの仕事の丸投げでは困ります。

『4倍速...仕事術』では、「リリース&キャッチ」を4倍速で繰り返すよう言っています。

リーダーは、業務の限界ギリギリまで様々なことに取り組んでいる。そこで業務をメンバーに渡し(リリース)、空いた時間でよりレベルの高い業務にチャレンジ(キャッチ)する、ということです。

リリースはあくまで新しい業務に挑戦するキャパシティを生み出すためのものです。

「キャッチ&リリース」ではリリースする前にキャッチできる状態は余裕のある証拠、リーダーが楽をしていることで成長スピードは遅い、と厳しい見方がされていました。

業務を抱えている「キャッチ&キャッチ」、「リリース&リリース」は丸投げで論外です。

リーダーは新しい業務に挑戦していく。メンバーもワンランク上の仕事を任されていく。リーダー・メンバーの成長とともに組織も発展していく。そんなシナリオを描いてのチーム運営になります。

メンバーを信じて、勇気を持って任せる、すべてのリーダーは信念として心に刻んで欲しいと思いました。

メンバーのエンゲージメントを高める

『4倍速...仕事術』では、最終章でいかにメンバーのエンゲージメントを高めるかについて述べています。

エンゲージメントの説明は次の通りです。

従業員ひとりひとりが企業の掲げる戦略や目標を適切に理解し、自発的に自分の力を発揮する貢献意欲

エンゲージメントはES(従業員満足度)とは違います。

ESは福利厚生、労働環境、給与待遇、マネジメント・人間関係における居心地良さの指標ですが、従業員のパフォーマンスとは必ずしもつながっていません。
一方のエンゲージメントはパフォーマンスとの相関が認められているものです。

エンゲージメントの構成要素は次の3つです。

  • 会社の方向性に対する理解
  • 帰属意識(組織に対する誇り、愛着)
  • 行動意欲(組織の期待、それ以上のことを行う自発的意欲)

エンゲージメントを高める工夫として、これまで紹介してきたマネジメントの考え方が活きてきます。

リーダーがメンバーに会社の目標・方向性をキチンと示し、メンバーの自己目標へ「約束」というカタチで落とし込む。リーダーとメンバーが目標設定について会社のMUSTとメンバーのWANTSを一致させるよう話し合うことが大切です。

自己決定の目標と会社目標との一致によってエンゲージメントを高めます。

話し合いは1on1の面談形式で行います。とりわけ、仕事の目標や成果については1on1というカタチでキチンと対話をすることが良いでしょう。

日常のコミュニケーションも大切ですが、リーダーはコミュニケーションをしているつもりでもメンバーに伝わっていないことがあります。1on1でキチンと対話することが、お互いの信頼関係につながり会社やチームへの帰属意識を高めることになります。

1on1での評価面談も行います。目標が達成されたのか、約束は果たされたのか、目標とする行動がとれたのか、リーダーはメンバーと一緒に確認をし、次の目標に向かうための意欲を高めます。

目標は自己決定したものである必要があります。自己決定することで行動意欲は高まります

まとめ

『4倍速で成果を出すチームリーダーの仕事術』(高橋恭介著PHP研究所)に沿って、「チーム一丸」のためのリーダーシップをまとめてきました。

チーム一丸体制をどのように作り上げていくか。

リーダー自身が新しい仕事にどんどんチャレンジして成長するプロセスの中にあるように感じました。

それは、リーダーが、チームメンバーひとりひとりとのかかわりを深め、メンバーのエンゲージメントを高めていくプロセスのことでもあります。

本書では、週次ミーティング・4半期単位で高速にマネジメントサイクルを回していくことが「4倍速」のコツだとありました。

私は、高速マネジメントよりも、「ワンサイクルでワンランクアップ」という言葉が気になりました。

丁寧にチーメンバーに関わっていく時間をつくる、増やすことがコツではないかと私は考えるに至りました。

ブログ2回に分けて、『4倍速で成果を出すチームリーダーの仕事術』(高橋恭介著PHP研究所)にあるチームマネジメントについてまとめました。

1.チームの目標設定方法、ベクトルの合わせ方(ブログ№218)(前編)
2.チーム一丸、スピード運営で成果を出す方法(ブログ№219)(本ブログ)

『4倍速で成果を出すチームリーダーの仕事術』(高橋恭介著PHP研究所)

この記事を書いた人

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西口満

「気づきによる学び、自ら成長する」を支援し、ひとりひとりのウェルビーイングの実現と生産性の高い職場のチームづくりを行い、企業や社会の発展に貢献する

ビジネスリーダー育成コーチ、
人事戦略のコンサルティングをしています。

プロフェッショナルとして「人の成長」に関わり続けることをライフワークとし、少しでも誰かの成長のお役に立てれば幸いです。

ブログでは、そんな私が学んだこと、気づいたこと、感じたことを発信し、誰かの、何か、前進のヒントになればと思っています。

これからも情報を発信し続けます。

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