チームの目標設定方法、ベクトルの合わせ方『4倍速で成果を出すチームリーダーの仕事術』

№218『4倍速で成果を出すチームリーダーの仕事術』(高橋恭介著PHP研究所)を読む中で、仕事の進め方、人材育成についての多くの気づき、学びがありました。

著者である高橋恭介氏を紹介します。

株式会社あしたのチーム、代表取締役会長。
あしたのチーム社は、人事評価制度の構築・クラウド型運用支援サービスの提供という、これからのSMART-HRサービスの中でも特異な分野で存在感を見せている企業です。

同社は2008年の設立以来、4倍速のスピードで事業拡大をなし遂げています。その根元にある考え方が『4倍速で成果を出すチームリーダーの仕事術』に書かれてありました。

リーダーシップチームマネジメントを企業成果に結びつける、人材育成を考える上でたくさんのヒントが得られました。私が特に”なるほど”と思った点についてまとめてみました。

  1. チームの目標設定方法、ベクトルの合わせ方(ブログ№218)
  2. チーム一丸、スピード運営で成果を出す方法(ブログ№219)

企業での人事制度改革、企業風土の活性化にご興味のある方にお勧めです。

ベクトルを合わせるための思考の転換

チーム目標設定に向けての基本的な考え方について、「~しなければならない(MUST)」から「~したい(WANTS)」へ考え方の転換が必要です。

これまでの一般的な企業や組織の考え方としては、「あるべき姿に向けて」「計画は達成しなければならない」が言われていました。

マストMUSTによって責任感義務感に訴え、メンバーに行動を促すという考え方です。

この考え方は、一歩間違えば「やらされ感」に陥ってしまい、チームを鼓舞することができません。

ウォンツWANTSによるマネジメントを私は目指したいと考えます。

WANTSに基づき「ありたい姿に向けて」「計画を是非達成したい」とメンバーが自発的に思えるかどうか、貢献意欲を引き出すという考え方です。

「やらされ感」ではパフォーマンスに限界がありますし、取り組むメンバーも不幸です。

しかし、メンバーが自分の意志で取り組むことで、より大きなパフォーマンスが得られますし、メンバーも幸せです。

また、「働き方改革」によって、いろいろな価値観を持った人材に対する多様性のマネジメントが求められるようになりました。

メンバーそれぞれの価値観が尊重され、メンバーと共感しながら一緒に「ありたい姿」を目指すようなチーム運営が必要です。

チーム目標の設定を考える時に、MUSTからWANTSに基づくマネジメントへ変えることが重要になっていることに気づきがありました。

バリューにもとづくベクトル合わせ

一般的に、企業にはその目的や使命にあたる「経営理念」「ミッション」、将来のありたい姿や方針に相当するものとして「ビジョン」、価値観や行動指針として「バリュー」を掲げています。

リーダーは、これらを自分の言葉に翻訳して分かりやすく具体的にメンバーに伝える必要があります。

特に「バリュー」は具体的な行動指針としてチームのベクトル合わせに活用します。

「自由闊達な職場コミュニケーション」という「バリュー」があったとします。リーダーは自分のチームでこれを実践するということは具体的にどうすれば良いのかを考えます。

例えば「会議の場において、自分の意見を必ず出し、オープンな意見交換をする。但し、他メンバーの批判はしない。まず傾聴する」「議論において、できないとは言わない。どうすればできるかといった視点で考え、発言する」など、リーダーとしてメンバーにメッセージを送ることが大切です。

目標を「約束」へ

チーム一丸となるためにチームリーダーがチーム目標をメンバーとの「約束」にするということを高橋氏は言っておられます。

チームメンバーとの「約束」にすることで目標は必達目標になります。

約束は破るわけにはいきません。目標はチームの目標であると同時に、リーダーが自分自身を追い込むことになり、チームメンバーとリーダーの一丸体制を作ることができます。

「約束」は必ず守られる結果にならないこともあります。約束の期日になれば、守れた、守れなかったことの両方の振返りが大切です。

「約束」とすることで、結果に対するリーダーの説明責任がより強くなるように感じられます。

私は、個人の目標もリーダーとの「約束」と位置付けると良いのではと思いました。

目標は大胆に設定

目標設定の考え方の定番といえば、SMART理論です。

  • S(Specific具体的に)...明確で具体的な言葉で記述すること
  • M(Measurable測定可能な)...達成したかどうか判定できるようできるだけ定量化する
  • A(Achievable達成可能な)...背を伸ばせば届く、絵に描いた餅にならない現実的内容であること
  • R(Relevant上位目標に関係した)...組織目標、会社目標に沿っていること、職務範囲から逸脱していないこと
  • T(Time bounded期限がある)...いつまでに達成するか期日が明確であること

SMARTに則っているか、基本事項として自分の目標を点検すると良いでしょう。

しかし、4倍速の仕事術では「A」の部分が違います。

一般的には売上げ前年比120%というような目標を設定しますが、売上げ200%のような大胆な目標設定を推奨しています。

120%という目標は、難しいけれど達成可能な「背伸び目標」としては適切です。ビジネスの成長が順調な場合で現在の延長線上の工夫と努力による達成が見込まれる場合には適切ですが、成熟市場で、変化が常態化している場合は延長線上の工夫では先行きが疑問です。

200%という大胆な目標は、ビジネス・業務の「革新」が必要な時に、これまでの延長線上にない新しい発想への転換を促し、ブレークスルーをしなければならない状況を作り出すことができます。

すべてを大胆な目標設定をする必要はないかもしれませんが、セオリー通りの目標設定では立ち行かないこともあり、むしろこれからは積極的に大胆な目標を取り入れる必要性を感じました。

ただ、チャレンジする気持ちが起こらない、「どうせ無駄」というモチベーションダウンが心配です。

大胆な目標を掲げつつ、その目標がメンバーにとってワクワクするもので、チャレンジする気持ちを起こさせるマネジメントが求められることになります。

目標のブレイクダウン(プロセスKPI、行動目標)

大胆な目標を「絵に描いた餅」にならないようにマネジメントするには、目標達成への道筋(目標をプロセスKPIへ分解)、何をすればいいのか(プロセスKPIに対する行動目標)をはっきりさせることが大切です。

KPIとは「重要業績評価指標(Key Performance Indicator)」のことで目標が定量化されています。

『4倍速...仕事術』では、目標のブレイクダウンを勧めています。

目標のブレイクダウンはよく言われることですが、ブレイクダウンを行動レベルにまで徹底することでメンバーに分かりやすく、達成したか、できたかできなかったのか、評価が明確になり、メンバー育成が容易になります。

〔目標⇒プロセスKPI〕例えば...

  • 売上目標 ⇒ 集客 × 成約率 × 単価
    集客KPIで顧客チャネル別に設定しどの属性の顧客に注力するのか、単価KPIで値下げをどの程度容認するのかなど、戦略戦術に対する具体的な方針を細かく示すことができます。
  • プロセスKPI⇒行動目標の例
    プロセスKPI実現のためにメンバーがどのように行動すればよいのか具体化します。
    集客の行動目標例「通りがかり顧客への集客行動」

店員は1時間ごとに立つ位置と立て看板の位置を変え、必ず店の前に目線を向ける。店頭の窓ふきをすることで、店の中で動きを出していく。ドアは必ず半分開けておき、通りがかった人たちが目を向けた瞬間に必ず笑顔で挨拶する

目標のブレイクダウンについて、リーダーが自ら考えること、リーダーがメンバーをコーチングすることでリーダーの成長につながります。

メンバーはリーダーからコーチングを受け、具体的な行動の実践を通してメンバー自身の成長にもなります。

大胆な目標は、プロセスKPI、行動目標へとブレイクダウン(Measurable、Relevant)し、具体化(Specific)することで、実現可能(Achievable)な目標とすることができます。

また、自分(達)で考えて設定した目標はWANTSによる目標となり、チーム一丸となったチャレンジへと向かうことができるのです。

目標設定、ベクトル合わせのまとめ

「チームの目標設定方法、ベクトルの合わせ方」についての気づき、学びについてまとめてみました。

  • MUSTからWANTSへ考えの転換で、メンバー自らやりたい!を大切にする。
  • 目標を「約束」とすることで、約束という言葉によってリーダー、メンバーの真摯で必至の姿勢を引き出す。
  • 目標を大胆に設定することで、これまでの延長線ではない変革を促す。
  • 目標のブレイクダウンで、目標達成に向けた戦略戦術を具体的行動によって確実に実行する。

これらを実践は職場の人材育成そのものでもあります。特に、チームを率いるリーダーのリーダーシップの発揮そのものステップ上がります。

1.チームの目標設定方法、ベクトルの合わせ方(ブログ№218)(本ブログ)
(次回へ続く)

2.チーム一丸、スピード運営で成果を出す方法(ブログ№219)(後編)

この記事を書いた人

烏山資之

烏山資之

企業で「人の成長」にかかわる仕事に長く携わってきました。

プロフェッショナルとして「人の成長」に関わり続けることをライフワークとし、少しでも誰かの成長のお役に立てればと思っています。

ブログでは、そんな私が学んだこと、気づいたこと、感じたことを発信し、誰かの、何か、前進のヒントになればと思い情報を発信し続けます。

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