『なぜ、御社は若手が辞めるのか』(著 山本寛、日経プレミアシリーズ)リテンションマネジメントのヒントが一杯

№187『なぜ、御社は若手が辞めるのか』」(著 山本寛、日経プレミアシリーズ)、本の紹介ブログです。

はじめに(書評)

企業にとっての喫緊の課題は人材確保です。

少子高齢化が進む中、企業は採用難に陥り、人手不足が常態化しつつあります。
近年、転職者が300万人を突破し増加傾向にあり、人材の流動化も進んでいます。
せっかく苦労して採用し、育てた人材も、辞めてしまう人が後を絶ちません。特に若手にその傾向が強いように思われます。

本書では、本のタイトルどおり、なぜ若手が辞めてしまうのか、退職者の本音、人事担当者によるリテンション(引き留め)、社員定着の工夫など、多くのインタビューから導き出し、紹介しています。

また、社員が辞めない会社の要因を分析し、「魅力的な会社」になるための処方箋が多く載せてあり、会社経営者、人事担当者には大いに参考になります。

人材確保にご苦労をされている経営者、人事担当者には是非お読みいただきたい一冊です。

さて、ブログ記事としては、「辞める理由」の中でも人間関係に着目し、特に、上司部下のコミュニケーションを活性化することで、リテンション効果をあげることに着目をしました。

よろしければ、以下お読みください。

なぜ退職してしまうのか

「社員に捨てられる会社」という表現が印象的でした。

今や立場は逆転。社員の方が強く、会社は社員に見捨てられないようにしっかりケアしなければならない時代になりました。

では、どんな理由で会社を辞めているのか?

1.労働条件(賃金以外)が良くなかったから(27.3%)
2.満足のいく仕事内容でなかったから(26.7%)
3.賃金が低かったから(25.1%)
4.会社の将来に不安を感じたから(24.2%)
5.人間関係がうまくいかなかったから(17.7%)
6.能力・業績が政党に評価されないから(15.9%)
7.他によい仕事があったから(15.1%)かい
〔厚生労働省(2016)転職者実体調査より、(自己都合退職者、理由3つまで選択)〕

特に若年層だけを対象にした調査であっても大きな差はなく、「人間関係がうまくいかなかったから」が2位に上がってくるぐらいだったそうです。

非正規社員の退職理由トップ3

1.人間関係に悩んだ(52%)
2.給与が低い(37%)
3.理不尽に怒られた(33%)

正社員と非正規社員とでは、人間関係の比重が高いようです。

本では、社員が会社を見捨てる理由(離職理由)の12が紹介されており、豊富なインタビュー事例が紹介されていました。

1.「上司が信頼できない」
2.「その他人間関係、職場の雰囲気が合わなかった」
3.「仕事が自分のキャリアに役立たない(つまらないなど)」
4.「仕事の負担が重すぎる」
5.「自分に対する評価に満足できなかった」
6.「将来の昇進・昇格の見通しに不安」
7.「会社の将来性が不安」
8.「労働時間が長い(残業が多いなど)」
9.「給料が安い(仕事内容や頑張りに比して)」
10.「会社の理念・経営方針に不満」
11.「仕事の領域を広げたかった」
12.l「これまで以上に能力・知識を発揮したかった」

退職理由は、実際は2つ以上の理由が複合的になっているということで、単体の理由だけでは退職にはつながらないようです。

リテンション(引き留め)のポイント

本書では、悩みながらも退職に至らなかった事例も載せてあり、そこからリテンションのヒントを探っていました。

退職理由が複合的な理由であることから、対策は打ちにくいとのことですが、ポイントとしては、次の3つが挙げられていました。

A.働きがいがある
B.会社の姿勢・方針に共感
C.周囲に相談する人がいた

特に、Cについて人間関係の良さが、退職を思いとどまらせている大きな要因になっていると分析されています。

「辞めない会社」にするには「働きやすさ」という点での労働条件がよい、「働きがい」という点では仕事の面白さ、自分の成長が感じられることがあります。

その他には、社風として「人を大切にする」「風通しが良い」というものもあり、会社内でコミュニケーションがしっかりとれているということがあげられます。

現場のマネージャーに期待されること(部下とのコミュニケーション)

エン・ジャパン(2018)の上司に関する調査では、「上司に期待すること」(複数回答可)を聞いています。

全体の回答では、1位は同率で「明確な判断をしてくれること」「人柄が信頼できること」(60%)、3位は「自分の意見や考えに耳を傾けてくれること」(52%)。

34歳以下の若手は、「業務についての具体的なアドバイス」や「分かりやすく細かい指示」を期待していますが、それほど年齢層による大きな違いは見られません。

上司に対する信頼性を重視しており、上司のその場限りのいい加減な判断や様子見的な態度に部下は不信感を募らせていること、上司に人間的な魅力を求めていることが伺えます。
エン・ジャパン(2018)の上司に関する調査では、「上司に期待すること」(複数回答可)
上司-部下の日頃からのこまめなコミュニケーションが大切であることを教えてくれます。

また、本の事例では、単純に、綿密なコミュニケーションをはかったり、熱意ある指導を心掛けるよりも、できるだけ部下を褒めながらやる気を高めていくというマネジメントが、特に若手社員の定着に有効だと推測しています。

現場のマネージャーに対して、より高度なコミュニケーション能力が求められているようです。

この本を読んで、ますます現場マネージャーのコミュニケーションをトレーニングしていく必要性を感じました。

研修プログラム作成の参考にしていきたいと思います。

この記事を書いた人

烏山資之

烏山資之

企業で「人の成長」にかかわる仕事に長く携わってきました。

プロフェッショナルとして「人の成長」に関わり続けることをライフワークとし、少しでも誰かの成長のお役に立てればと思っています。

ブログでは、そんな私が学んだこと、気づいたこと、感じたことを発信し、誰かの、何か、前進のヒントになればと思い情報を発信し続けます。

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