ナイチンゲール『看護覚え書』の言葉から、「部下育成覚え書」部下育成の信念へ

№206ワンセンテンスブログ、「クリミアの天使」と呼ばれたナイチンゲールの残した言葉を取り上げました。

今日のワンセンテンス

「子供たちに、新鮮な空気が入り、明るく、陽当たりよく、広々とした教室と、涼しい寝室とを与え、また戸外でたっぷりと運動をさせよう。たとえ寒くて風の強い日でも、暖かく着込ませて十分に運動させ、あくまで自由に、子供自身の考えに任せて、指図はせずに、たっぷりと楽しませ遊ばせよう。もっと子供に解放と自然を与え、授業や詰め込み勉強や、強制や訓練は、もっと減らそう。もっと食べ物に気をつかい、薬に気を使うのはほどほどにしよう。」
出典『看護覚え書』第六版(藤井坦子ほか編訳、現代社)「ロンドンの子供たち」より

ナイチンゲールは(1820 – 1910)イギリスの看護師です。

クリミア戦争のときに多くの看護師を率いて傷病兵の看護にあたり、当時「クリミアの天使」と呼ばれました。

現代で看護師のことを「白衣の天使」と呼ぶのはナイチンゲールから由来しています。

彼女の事績は、勇気を持って献身的に負傷兵の看護に努めたということだけでなく、統計学に基づく医療衛生改革(イギリス王立統計学会初女性メンバー、アメリカ統計学会名誉メンバー選出)への尽力や近代看護教育の母とも呼ばれ、ナイチンゲール看護学校の設立に携わり、後の看護教育体制の発展にも貢献しました。

なお、ナイチンゲール賞は、戦時平時の傷病者や障がい者に対して偉大な勇気を持って献身的な活動をした者、公衆衛生や看護教育の分野で顕著な実績を残した者、創造的・先駆的貢献を果たした人に対して、ナイチンゲールを顕彰し、授与される賞です。

Florence Nightingale CDV by H Lenthall.jpg
By H. Lenthall, London –
このファイルは以下の画像から切り出されたものです: Florence Nightingale three quarter length.jpg

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ワンセンテンスをなぞらえて「部下育成覚え書」を考える

「ロンドンの子供たち」の一節を「組織マネジメントにおける部下育成」として、なぞらえてみました。

『部下に、新鮮な空気が入り、明るく、広く伸び伸びとできる、快適な職場と、時にリフレッシュできる休憩室とを与え、また職場の外でたっぷり活動させよう。顧客や競合、業界からの厳しい風に当たっても、しっかりとバックアップしてやり、フォローし、安心して活動させ、あくまで自由に、部下の考えに任せて、指図はせずに、たっぷりと仕事を楽しませよう。もっと権限を与え、あれこれと細かな手順の指示や強制は、もっと減らそう。もっとコミュニケーションに気を使い、指導に気を使うのはほどほどにしよう。』

職場環境を整える

ナイチンゲールの言葉を強引になぞらえてしまいました。

マネージャーが部下育成を考える時にはいくつかの切り口があります。

業務に必要な知識、手順を教えるということはもちろんですが、重要なこととしては部下が活躍できる「場」を作り出すことです。

「場」には、物理的な職場環境もあれば精神的な環境もあります。

会社として社員が快適に過ごせる設備環境、良好なコミュニケーションが図れておりハラスメントなどのない人間関係などについて、マネージャーとして整備する必要があります。

職場はサロンではありません。職場における生産性の向上や創造性創出が目的になります。

部下の活躍の場を整備する

「場」には、部下活躍の機会を与え、経験による成長を促す「場」の意味合いもあります。

部下には、自分で考え行動し、行動の結果を内省する機会を与えるようにしたいものです。

そのためには、部下に自由に提案させ実行させるようにし、失敗に対してしっかりバックアップし、次の成長の機会が失われることのないようにフォローしなければなりません。

自由を与えると同時に修羅場を経験させる厳しさも必要です。

自分で考え行動する自立性を身に着けさせるためには、できるだけ指図、命令は控えるようにするのが良いでしょう。

こと細かい指示命令の行きつく先は、指示待ち癖と上司への責任転嫁です。

マネージャーとしてはあれこれ心配になりますが、マネージャーの仕事は忍耐であると割り切る必要があります。

部下育成の信念

現実のビジネスは競合との生き残りがかかる厳しい世界です。組織には、指揮命令があり、決められたルール、手順に従って運営されています。方針には従ってもらわなければなりません。

「部下育成覚え書」の内容について、部下育成の大切さは理解できるが、ここまで配慮しなければならないのか、非現実的ではないか、と疑問を持つ方も多いでしょう。

「部下育成覚え書」はたんに「看護覚え書」の一節をもじっただけです。

私が言いたかったことは、「部下の成長を、部下に任せ、部下を信じることで成し遂げる」という部下育成の信念を持つことが大切だ、ということです。

部下の成長はマネージャーにとっての重要な仕事のひとつです。唯一の仕事だといっても過言ではないと私は思っています。

部下育成のために、ナイチンゲールのように、勇敢で献身的でありたい、そのような考えを持ったマネージャーがたくさんいれば、その組織は永続的に安泰なのではないでしょうか。

ナイチンゲールの言葉から部下育成を考えてみました。

この記事を書いた人

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西口満

「気づきによる学び、自ら成長する」を支援し、ひとりひとりのウェルビーイングの実現と生産性の高い職場のチームづくりを行い、企業や社会の発展に貢献する

ビジネスリーダー育成コーチ、
人事戦略のコンサルティングをしています。

プロフェッショナルとして「人の成長」に関わり続けることをライフワークとし、少しでも誰かの成長のお役に立てれば幸いです。

ブログでは、そんな私が学んだこと、気づいたこと、感じたことを発信し、誰かの、何か、前進のヒントになればと思っています。

これからも情報を発信し続けます。

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