2019年4月3日№155 ワンセンテンスブログ(キャリアコンサルティング)
はじめに
新入社員としてこれから新しく社会人としての一歩を踏み出そうとしている方、転職で新たな職業人生のステージへ進もうとしている方。
まさにキャリア(職業人生)の転機にある方に参考になるキャリアの考え方をご紹介します。
キャリアの転機に際して、夢や希望を胸に抱いておられる方々も多いと思います。
新入社員であれば、世の中の役立つ製品を開発したい、顧客に喜ばれる営業になりたい、将来像を思い描いておられることでしょう。
しかし、それが具体的かと問われれば、まだまだ漠然としたイメージでしかないと言わざるを得ないのではないでしょうか。
むしろ、現段階でキャリアを「これ」と決めつけてかからない方が良いかもしれません。
キャリアは「筏(いかだ)下り」
キャリアは「筏下り」です。
キャリアは、川の流れに身を委ね、そこで身に付くスキル・経験、出会う偶然の機会をうまく捉えて対応していくことでキャリアを発達させていくという考え方です。
特に、会社員の場合は異動があるので、必ずしも自分の思うような仕事ができるとは限りません。
自分の希望どおりにならないのであれば、流れに身を委ねる中で自分を磨くことに集中してみてはいかがでしょうか。
キャリア理論では、ブランドハップンスタンス理論と呼ばれるものです。
この理論は「委ねる」という消極姿勢ではなく、「偶然を計画する(Planned Happenstance)」と言われるように自ら偶然の機会に飛び込んで自分を鍛えていくという積極姿勢の理論です。
欠点としては、キャリア形成のプロセスとしての意識をしっかり持っていないとどんどん流されるだけになってしまう恐れがあります。知らず知らず、偶然が運命になる瞬間を逃してしまっているかもしれません。
キャリアは「山登り」
キャリアは「山登り」です。
自分の価値観、明確な将来像の実現に向けて、キャリアを山に見立て、頂上をコツコツ目指していくキャリア発達の考え方になります。
特に、キャリアの目標が明確な場合に有効です。
やるべきことが明確になっているので、集中して関連の知識を身に着け、経験を積むよう取り組むことも明確になります。
キャリア理論では、キャリアアンカー理論と言います。
自分の価値観に合った仕事、自分に向いた仕事が前提で、その実現のためにキャリアを自ら切り拓いていくという理論です。
自分のやりたいこと、自分の将来像が明確なので、何を努力すればいいのかも明確です。
キャリア発達の道筋が明確な理論です。
欠点としては、その仕事が自分に適した仕事なのかなかなか確信が持てないとうことです。
やりたい仕事と向いている仕事が一致するとは限りません。
特にキャリア経験が浅いと本当に自分に適した仕事に出会う前に「思い込み」で仕事を選んで行動してしまう恐れがあります。
素晴らしいキャリア形成のコツ
「筏下り」「山登り」の2つの理論をご紹介しました。
どちらも優れており、どちらも欠点があります。
そこで、両方の理論を組み合わせて考えてはいかがでしょうか。
新入社員であれば、まず5~7年間は「筏下り」と考えます。
ぶつからないよう沈まないよう脇目も振らず、訳が分からずとも与えられた仕事を一生懸命やりきることに専念しましょう。
企業人としての基礎を養います。
そうすることで、組織の中でも周囲から「あいつはできる、任せられる」という信頼感を定着させることにもなります。
続く5~7年間は「山登り」です。
川下りの経験から、これだと思った分野が見つかるのではないでしょうか。
その分野でのプロになるよう高みを目指します。
ある程度極めたら、その分野を軸に実績を積みます。「いい仕事」をしましょう。
昨今は、ひとつの分野を極めるだけではダメです。
幅広い知識が必要になる場面が多いですし、単独の分野では会社の方針が変われば役に立たなくなってしまうことがあります。
なので、極めた頂上から尾根伝いに隣の山々を極めていくことを考えましょう。
その時にも、川下りの経験が役に立ちます。
ひと時代を5~7年としましたが、人によって期間は様々です。
大切なことは、キャリアに節目を作って目標を立て、その実現のための相当な期間を意識し、継続的な努力が必要だということです。
最後に
自分のキャリアは働くようになってからも問い続けることになります。
最初は「働くことで、何が得られるのか、身に着けるのか」といった「獲得」がキャリア形成の中心になりますが、長い職業人生の中でその問いは「働くことで何が与えられるのか」に転換する時機がやってきます。
キャリア(職業人生)は、「有能感」から「貢献感」に軸足が移ることになってくるでしょう。
社会の一員として、また担い手として自分に何ができるのかをしっかり考えることが素晴らしいキャリアを創ることにつながります。