2019年2月15日№109 ワンセンテンスブログ
物事を考えるときにあれこれ過去に遡ってどうだったか、別の事例で似たようなことはなかったのか、
私たちは、「あの時、あそこで(there & then)」について様々考えを巡らせます。
過去から学ぶこと、事例から学ぶことはとても効率よく、間違いのない確実な思考法ですが...。
フッサール(1859 – 1938)はオーストリアの哲学者で、人間の知覚を基盤とする「現象学」という考え方を打ち立てました。
フッサールが考えたことは、ごく簡単に言えば、「いま、ここ(here & now)」を重要視する考え方です。
彼は、私たちが体験し、意識を向けた「いま、ここ」を基盤に物事を考えるということを主張しました。
私たちは物事を客観的に捉えて、事実や真実は自分の外にあるものとしてできるだけ距離をおいて冷静に探求していきます。
科学技術の研究はこの方法で発展してきました。
フッサールの考え方は、物事を考える時に、対象物と「私」の間に知覚作用や意識が必ず存在することに着目しました。
過去のことであれ何であれ、人が認識し考えるということは、「いま、ここ」にある私の知覚や意識に映っているものを通して、私が認識し、解釈することに他なりません。
私たちは客観的に物事を見ると言いながらも、主観でしか物事を見ることしかできないのです。
フッサールのこの考え方は後の人文科学の発展に大きく貢献したと同時に科学技術の発展にも影響を及ぼしました。
私たちはもっと「主観」というものを大切にしていいのではなでしょうか。
自分の感覚、体験、それらを通じての「学び」。
過去の出来事をそのままに見るのではなく「いま、ここ」にいる自分にとってそれが何だったのかを考えると同時に「いま、ここ」からどう行動するのか。
「いま、ここ」を大切にするという姿勢は非常に大切だと思います。