ムンクの「叫び」に会いに行こう「生きている自分」を感じる!

私は印象派の絵が好きです。モネ、マネ、ルノワール、ドガ、などなど。色彩が織りなす光や空間が見ている人の心の中に映し出され、「美しい」という感動を呼び起こしてくれるからです。

エドヴァルド・ムンク(1863-1944)が心に映し出すのは「美しさ」ではなく、『生きている』ことの「生々しさ」です。

心をざわつかせる画家、私はムンクに魅せられてしまうのです。

大規模なムンク展は10年ぶり。東京都美術館 ムンク展 -共感する魂の叫び -

数ある「叫び」の中で今回来日しているのは2013年作?で、最後までムンク自身が手放さなかった一品。

この機会を逃すわけにはいきません。

いざ、ムンク展へ

その日は、朝からそわそわと心が落ち着きませんでした。

ムンクには特別な思いがあります。

それは1981年に生まれて初めて行った美術館展がムンクだったこと、大学進学時に哲学を専攻することになったきっかけになった絵がムンクだったからです。

ムンクとの出会いは、当時の私にとっては、いわば青春時代の一大事件だったわけです。

そんな事情もあり、とても懐かしく、ワクワク気分で、東京都立美術館へ足を運びました。

仕事帰りで美術館到着は18時20分、ラッキーなことに学芸員さんによる解説が美術館講堂で開催されるタイミングと合い、見る時間も限られると思いましたが、これも機会と思って参加しました。

30分間という短い時間でしたが、ムンクの生涯の説明が丁寧で、代表画のスライドでは思い出深い絵が次々と映し出され、すぐに展示会場へ飛び込まなくて良かったと感じました。

学芸員さんのイブニングレクチャーの日程はナイト営業日12月7日(金)、1月11日(金)いずれも18:30~19:00の時間帯となっており、限られた日程ですがお勧めです。

いよいよ、展示会場へ、閉室まで時間もないので、見たい絵へと急ぎました。

風景画、人物画を中心とした画家の感性に従った現実の再現を目指す印象派とは一線を画し、画家自身の心の中を表現するムンクのテーマは、「愛と死」「不安や苦悩」といったものでした。

「叫び」は叫んでいるのではありません!?

叫び1910年?オスロ市立ムンク美術館
ムンクの叫び、おそらく誰もが知る最も有名な絵の中のひとつではないでしょうか。

真っ赤な空、曲がりくねった青い海、海岸、橋の上で一人の男が叫んでいる、空間がゆがみ、気が狂ってしまったかのような強烈な絵。

“夕暮れに町道を歩いていた
一方には町とフィヨルドが横たわっている
私は疲れていて気分が悪かった
立ちすくみフィヨルドを眺める
太陽が沈んでいく雲が赤くなった血のように
私は自然を貫く叫びのようなものを感じた
叫びを聞いたと思った
私はこの絵を描いた 雲を本当の血のように描いた
色彩が叫んでいた
この絵が〈生命のフリーズ〉の《叫び》となった”

男が叫んでいるというのではなく、叫びを聞いて耳を塞いでいるという見方の方が正しそうです。

今回来日の「叫び」は1910年(47歳)に描かれたものです。

最初の「叫び」は1893年(30歳)(※今回は来日していません)に描かれたものと言われています。

このころのムンクは、影響力の強かった父を亡くし、「読書する人や編み物をする女のいる室内画を、もう描いてはならない。呼吸し、感じ、苦悩し、愛する、生き生きとした人間を書くのだ」と日記に決意したところでした。

また、その決意のもと開いたベルリンでの個展が、その衝撃のあまり1週間で閉幕に追い込まれる「ムンク事件」の直後でもありました。

これらの出来事を経ての精神状態がどのようなものだったのか、このころの作品としては「叫び」と同じ真っ赤な空に桟橋の構図の「不安」「絶望」が製作されています。

自分は、どこから来てどこへ行くのか、生まれて死にゆく人間存在そのものを問わずにいられない不安や焦燥があったのではないかと想像します。

「叫び」はムンクが叫んでいる姿ではありませんが、塞いでいる耳に届いている叫びは、ムンク自身の魂の叫びだったのではないでしょうか。

ノルウェーのオスロ郊外にあるエーケベルグ公園が「叫び」スケッチの場とされており、今も真っ赤に染まる夕空が見られるそうです。

今回のムンク展は「共鳴する魂の叫び」と題され、2019年1月20日まで東京上野の都立美術館で開催されています。ムンクだけを100点以上集めた大回顧展です。

愛や絶望、嫉妬、孤独など人間の内面を鮮烈に描いた作品のほか、晩年の明るく美しいムンクにも出会えます。是非この機会をお勧めします。

詳しくは、東京都美術館ホームページ、またはムンク展特設サイト

会期  2018年10月27日(土)~2019年1月20日(日)
休室日 月曜日、12月25日(火)、1月1日(火・祝)、15日(火) ※ただし、11月26日(月)、12月10日(月)、24日(月・休)、1月14日(月・祝)は開室
開室時間 9:30~17:30(入室は閉室の30分前まで)
夜間開室 金曜日、11月1日(木)、3日(土・祝)は9:30~20:00(お勧め)

この記事を書いた人

烏山資之

烏山資之

企業で「人の成長」にかかわる仕事に長く携わってきました。

プロフェッショナルとして「人の成長」に関わり続けることをライフワークとし、少しでも誰かの成長のお役に立てればと思っています。

ブログでは、そんな私が学んだこと、気づいたこと、感じたことを発信し、誰かの、何か、前進のヒントになればと思い情報を発信し続けます。

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